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前立腺がんとは?症状・治療方法・手術や合併症・術後後遺症について

男性がかかるがんの中で一番多いのが前立腺です(2018年統計)。前立腺にできたがんは前立腺がんと呼ばれます。ここでは、患者さんの数がとても多い前立腺がんについて、その症状や治療方法・手術の方法や、手術後の合併症、予後などについてご紹介します。また、前立腺がん予防のための生活習慣についてもご紹介します

前立腺がんとは?

前立腺がんとは、前立腺という男性の生殖器の細胞ががん化ししてしまうことです。
日本においてもライフスタイルや食事が欧米化したことや、検査技術の向上などで、年々前立腺がんと診断される中高年の男性が増加しています。

前立腺がんは、初期にはほとんど自覚症状はありません。「トイレが近い」や「尿が出にくい」などの前立腺肥大症に似た症状が現れ、泌尿器科を受診時に発見されることも多くあります。ただし症状が出てからでは、進行している場合が一般的です。
更に進行し、骨に転移すると、腰痛を感じたり歩行困難となります。

患者数・割合

前立腺がんは、アメリカでは6人に1人がかかると言われていて、日本でも近年、患者数が増えているがんの一つです。

2018年に新たに診断されたがんは980,856例(男性558,874例、女性421,964例)そのうち前立腺がんは92,021例でした。これは、胃がんや大腸がん、肺がんを抜いて一番多い数字です。
前立腺がんにおける人口あたりの罹患率は、人口10万に対し149.5例です。

 

がん種別 前立腺 大腸 結腸
10万人あたりの罹患率 149.5 141.2 140.4 133.3 87.7

最新がん統計:[国立がん研究センター がん統計]

原因

前立腺がんの主な原因は明らかではありませんが、遺伝、食生活やライフスタイルの欧米化、男性ホルモン、加齢などが関係していると考えられています。
特に親や兄弟に前立腺がんの人がいる場合は、要注意です。リスクは2倍になると言われています。

高齢者の発症率が高いことから、加齢も関わっているとされます。
また、前立腺がんは喫煙・運動不足・肥満・飲酒などが原因である可能性が高いと考えられていて、研究が進められています。

健康診断でチェックできる?

前立腺がんは血液検査で簡単に調べることができるため、人間ドックのPSA検査でわかることがあります。

血液検査では、前立腺のマーカーであるPSA(前立腺特異抗原)を検査します。(※PSAは前立腺がんの腫瘍マーカーではない)
PSAとは、前立腺の上皮細胞から分泌されるタンパクのことです。がんの場合、血液中でPSAの値が高くなるため、精度の高い診断ができます。このため、健康診断でも簡単にチェックすることができます。

PSA値が高値な場合、前立腺肥大症や前立腺の炎炎、加齢、射精などでもPSA値が高くなることがあります。そのため、医療機関での更なる検査が必要となります。

検査方法

前立腺がんの検査では、PSA検査の他、医師が直接肛門から指を入れ前立腺を触り硬さを調べる直腸診や、軽会陰的超音波および直腸に超音波プローブを挿入し前立腺の形や大きさを調べる経直腸的超音波検査が行われます。

これらの検査でがんが疑われた場合は、前立腺生検が行われます。これは、エコー下に前立腺の組織の一部を針で何か所か採取して、がん細胞の有無を確認するというものです。

その結果、前立腺がんの診断がついた場合は、エックス線やCT検査、MRI検査、骨シンチグラフィーなどの画像診断を行い、がんの進行度や転移の有無などを確認します。

治療方法

監視療法

監視療法とは、直ぐに治療せずに様子を見るというものです。
PSA検査の結果、がんが見つかったとしても、直ぐに治療しなくて良い場合もあります。定期的な検査をし、進行したり悪化していないかどうかをチェックすることを監視療法といいます。

監視療法となるのは、基本的には低リスクのもので、PSAの値が低く、グレードも1で、がんが前立腺の中にとどまっている場合です。
いずれも3~6か月に一度のPSA測定、1~3年に一度の前立腺針生検が必要で、経過観察をします。

放射線療法

転移がないことを前提に行われます。また、放射線治療は、前立腺周辺の膀胱や直腸への影響を少なからず出てしまいます。そのため、照射は前立腺に集中させる必要があります。そのため、放射線治療には様々な方法があります。

1,強度変調放射線治療(IMRT)

体の5方向から放射線を照射し、前立腺への照射を増やし、前立腺以外の部位への影響を軽減させるというものです。

2,粒子線治療(重粒子線や陽子線)

粒子線の特徴を生かし、体の奥に入ってから放射線量が強くなり、体の外に出るときは弱くなるというものです。こちらは前立腺に集中して照射することができます。

3,小線源療法(ブラキーセラピー)

こちらは組織内照射といい、前立腺の中に放射線を出すカプセルを埋め込む方法で、前立腺の中に放射線を行き渡らせ、膀胱や直腸への影響を少なくするというものです。

薬物療法

前立腺がんに対して行われる薬物療法は、主にはホルモン療法です。これはどこの前立腺がんにも届き、高齢者でも安心して受けられるというメリットがありますが、がん細胞が全て死滅する訳ではありません。

ホルモン療法には、LHRH製剤、女性ホルモン剤、精巣を摘出して男性ホルモンを作らないといったものになります。主にはLHRH製剤を使った注射で、男性ホルモンを抑制するので、副作用として、性欲低下、筋力低下、メタボリック症候群、うつ症状、記憶力低下、貧血、火照り・発汗など女性の更年期に似た症状なども起こります。

ホルモン療法は効果があり、一旦は良くなりますが、しばらくすると「再燃」と呼ばれる難治性の去勢抵抗性がんとなることがあります。
その場合は、新規ホルモン剤を使用したり、化学療法や放射線薬剤での治療が選択されます。

外科手術

前立腺がんの手術は、前立腺の全てと、そのすぐ横にある精嚢を合わせて切除するという手術です。腫瘍が小さく前立腺の中に収まっているものは、完全に切除することができます。ごく早期の腫瘍を除いては、拡大リンパ節郭清が必要になります。
開腹手術(恥骨後式前立腺全摘除術)
全身麻酔下で、お腹(へその下)を切開し、恥骨の裏側から前立腺と精嚢を全て切除するという手術です。

腹腔鏡手術(腹腔鏡下前立腺全摘除術)

腹腔鏡を用いて、お腹を開腹せずに前立腺を摘出する手術です。
お腹に小さな穴をいくつか開け、ポートを立て、そこからカメラや鉗子を入れて手術する方法です。お腹を炭酸ガスで膨らませるので、出血は少なくてすみますが、骨盤内は狭いため、操作がしにくいという欠点があります。
開腹手術よりも、術後の痛みが少なく回復が早いという利点がありますが、いずれにしても熟練した医師のみができる手術です。

ミニマム創手術

ミニマム創手術は、お腹を小さく切開し、そこから腹腔鏡のポートを入れ、画面を見ながら手術を行います。
炭酸ガスは使われません。小さく切開するため、ポートを立てて行う手術より操作性が良いという特徴があります。また、患者さんへの負担が少ないため、これまで多くの手術を行ってきたという方でも適応になることがあります。

ロボット手術(ロボット支援前立腺全摘除術)

ロボット手術(da Vinci)は、ロボットを使い遠隔操作で手術をします。小さな穴を開けるので傷自体は目立ちません。術者は広範囲を見渡せる視野を確保でき、3Dで操作性も良い手術です。視野を10倍まで拡大することができ、細かい血管や神経なども確認することができます。排尿の神経や、勃起神経を高い確率で温存できると言われています。

ロボット手術は腹腔鏡手術と同様に、術後の痛みが少なく回復が早いという利点があります。
また、遠隔操作ができるので、離れている施設間で、同じ機械があればほぼ同じ手術を受けることができます。

外科手術後の合併症

前立腺がん摘出術は侵襲が大きな手術です。前立腺のすぐ下には括約筋があるため、術後尿失禁になったり、前立腺の周りには勃起神経が走行しているため勃起障害が起きたり、直腸が損傷し人工肛門が必要になったり、その他、尿道狭窄、鼠経ヘルニアなど、術後の合併症には様々なものがあります。

尿失禁(尿もれ)

前立腺のすぐ下には括約筋があるため、前立腺全摘出することにより尿漏れが起こります。
排尿機能は術後数ヶ月で戻る場合もありますが、数ヶ月を過ぎても戻らない場合には、尿失禁の手術などが検討されます。

ただし、命にかかわる大きな手術を受けた後のため、次の手術は考えられないという方も多くいらっしゃいます。

前立腺がん手術後の尿もれについて詳しくはこちらもご覧ください。

前立腺がん手術後の尿もれは治るの?対策方法とは

性機能障害(勃起障害)

前立腺の周りには、性機能を調整するための勃起神経ががあります。手術や放射線治療の時に、それらが損傷されると性機能障害が起こり、性欲減退、勃起障害、射精障害などになります。

前立腺がんの手術では機能を温存するために、できるだけ神経温存し、傷つけないように手術が検討されますが、がんを残さないようにすることが最優先なので、神経温存が難しい場合もあります。
主治医とは術前にどこまで残すかが話し合われます。
がんが非常に小さな場合には神経温存が可能です。片側に大きながんがある場合は、そちら側の神経も一緒に切除するため、もう一方の神経しか残りません。大きながんが両側にある場合は、神経は全て切除しなくてはなりません。
勃起できる可能性は、両側の神経が温存できた場合で60~80%、片側温存の場合では20~40%、両側日温存の場合は、勃起機能は損なわれます。

合併症の予防・改善方法は?

放射線療法、薬物療法、手術治療、全ての治療方で合併症のリスクがあるため、予め予防方法や改善方法を知っておくことが必要です。

また、手術の方法や成績は、施設や術者によっても異なります。執刀する先生の治療成績、例えば症例数や再発率、神経温存の成績、術後尿漏れの割合などについて予め聞いてみることをお薦めいたします。

排尿障害の新しい医療機器「Xホールド」の臨床的有用性

外科手術後に起こる尿漏れには、保存的な治療法が必要とされてきました。Xホールドは、臨床研究で有用性が示された、尿失禁のコントロールに有用な医療機器です。

Xホールドとは

Xホールドは、三井メディカルジャパンが独自に開発したクッションを会陰部(陰茎根)にあて、障害が出ている尿道括約筋の役割を補います。また、膀胱頸部の下垂を防ぎ、排尿をコントロールします。

身体に負担をかけず、自分で症状に合わせて使用できる医療機器で、下着の上から装着するスタイルです。

Xホールドの構成品と仕組み

Xホールドは、クッション・股下ベルト・腰ベルトの3つの構成品で、それぞれが重要な役割を果たします。

クッション

会陰部(陰茎根)にあてて使用します。表面はシリコーンゴム100%で人体にやさしく、柔らかい素材です。

股下ベルト

クッションを固定して引き上げます。ベルトはメッシュ生地で、汗による蒸れなどを防ぎます。

腰ベルト

股下ベルトを固定するための構成品です。サイズはMとLがあります。

クッションをあてることにより、正常に機能しなくなった「尿道に圧をかける力」を補います。

Xホールドの臨床研究結果

尿失禁をもつ10名の男性が登録され、臨床研究を行いました。
Xホールドの使用前と使用後に、内視鏡所見・尿道内圧変化を評価するものです。

尿道内圧は、安静時の尿道括約筋緊張を評価する指標となります。

研究結果では、Xホールド®の適用後、尿道内圧が明らかに高まりました。(p < 0.05)
最高尿道圧(単位:cmH2O):41 → 51.5 : ΔP = +10.5
最大閉鎖圧力(単位:cmH2O):19 → 34 : ΔP = +15

一般的に排尿パターンは正常に戻っています。排尿回数は日中に8~10回、夜間には1回以下の排尿でした。

尿漏れの平均値は、使用前が359.8 ml(40-2158 ml)、使用後は30.6 ml(0-75 ml)と大幅に改善しています。使用する尿漏れパッドの数は1日1,2枚になり、布団を濡らすことはなくなりました。

患者様は、尿漏れにより制限されていた趣味や活動が再開でき、通常のライフスタイルに戻っています。

治療後の注意事項

前立腺がんは治療しても、再発のリスクがあるため、定期的な観察が必要となります。
また、長く付き合っていくケースも多くあります。前立腺がんについてしっかり知ること、そして心身共に自分らしく生活を送れるような工夫が大切です。

前立腺がんの予防

食生活の欧米化が関係しているといわれいることから、肉類や乳製品の過剰摂取を控え、バランスの良い食事をとるように心がけるようにすると良いでしょう。
また、親や兄弟に前立腺がんの患者がいる人は、リスクが高まることから、50歳を超えたら定期的にPSA検査を受けることをお薦めいたします。

この記事の監修医師

永尾 光一

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

所属医療機関

この記事の執筆者

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役。日本における女性疾患についての認知や理解度の低さに危機感をおぼえ、医療機器開発に着手。子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱の治療に用いる「フェミクッション」を開発し、三井メディカルジャパンを通じて発売。

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