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前立腺がん手術後の尿もれは治るの?対策方法とは

前立腺がんの手術で、前立腺を全摘出したあとの合併症としてよく起こるのが「尿もれ」。ほとんどの場合手術後数カ月間で回復し、半年後には生活に支障ない程度まで回復しますが、術式によっては回復しない場合もあります。

回復するまでの尿もれ対策や、回復しなかった場合の継続的な尿もれ対策には、骨盤底筋体操などのリハビリテーションが推奨されていますが、それ以外にも「X(エックス)ホールド®」という排尿コントロールが可能になる医療機器の活用という選択肢もあります。

前立腺がん手術後の経過と注意点について

個人差はありますが、手術後の経過と注意点については以下のようになります。

日数 経過と注意点
当日 点滴や酸素マスクをして手術室から戻ります。
1~2日後 腸の状態を見て飲食を開始、また歩行も開始。感染がなくても発熱がみられる場合があります。
3~4日後 レーンを抜きます。
7日後 尿道の管を抜き、排尿状態を観察します。
今後の治療方針を立てます。
10日前後 退院

また退院後は2週間に1度、外来受診していただい病理結果の説明を受けます。合併症が確認された場合は、希望に合わせてリハビリテーションや治療の開始となります。

術後合併症について

出血、感染、痛み、吻合不全、尿失禁、排尿困難、頻尿、性機能障害、直腸損傷、肺塞栓、鼠径(そけい)ヘルニア、その他の合併症(リンパ節郭清後の陰部浮腫やリンパのう腫)

前立腺がんによる前立腺全摘出後の合併症とは

前立腺がん手術後の主な合併症として「尿失禁(尿もれ)」「性機能障害」があります。これらは手術後のリハビリテーションや治療を行うことで、改善が見込めます。

尿失禁(尿もれ)

尿もれ

術中に排尿機能を主る神経を損傷し、術後に尿漏れが起こります。

通常は、排尿機能は、6か月程度で戻ると言われています。しかし、6か月を過ぎても、戻らない場合は、一生涯尿漏れと付き合って行かなくてはなりません。

どんなときに尿もれしてしまう?

多くの場合は、手術後間もなく尿漏れを経験し、数か月で排尿機能が戻ると言われています。ゴルフのスイングなど腹圧がかかる時に漏れてしまうことが多く、重症化すると、パッドをしても足りなくなり、ズボンの裾まで濡れてしまい、外出も躊躇してしまいます。

骨盤底筋体操

尿もれを防ぐために、「骨盤底筋体操」が効果的であると言われています。
女性の骨盤底筋体操と同様に、肛門を閉じたり、リラックスしたりを繰り返し行います。
そのほか、排尿を途中で意図的に止める訓練をする、積極的に散歩をする、といったことも、尿もれの改善に効果的であると言われています。

手術

スリング手術と人工括約筋手術と、2種類の手術があります。しかし、癌という大きな手術をしたあとの患者さんは、1年以内に再度、全身麻酔の大きな手術をすることを拒まれる方も少なくはありません。

ダヴィンチ・ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺摘除術

ダヴィンチとは、前立腺摘出にも使われる内視鏡内の3D映像化、手振れ補正など、手術の正確性・精密性を向上させる、手術支援ロボットのことです。従来の開腹手術と比べ、傷跡が小さく出血量も少ない上、がんの再発率も低いなどといったメリットがあります。

紙おむつや尿もれパッド

尿もれによる下着や洋服への影響を防ぐため、紙おむつや男性用尿漏れパッドを用いることもあります。
近年では男性でも使いやすいような形状になっていたり、素材が進化していたりとさまざまです。下着のように装着するおむつタイプだけでなく、下着自体に装着するパッドタイプもあります。
ただし、尿もれを防止するというよりも、起きてしまった状態に対応する対症療法的な方法に過ぎないのが現状です。

尿もれの改善を目指すなら「Xホールド®」という選択肢も

尿もれ

骨盤底筋体操などのリハビリテーションを行うことで、長期的にみると合併症の尿もれは改善されますが「Xホールド®」という医療機器を活用すれば、排尿のコントロールができるようになります。

Xホールドとは

男性の会陰部に、専用のシリコン製の柔らかいクッションで圧迫し、膀胱球部を持ち上げ、排尿のコントロールをしてあげるというものです。
効果は、1日に5枚のパッドを使っている方が、個人差はありますが、1枚で済むというものです。
Xホールド®着用時の尿道内圧を測定したところ、内圧の上昇が確認されたという海外の大学病院で行われた試験で実証されています。

Xホールドを活用するメリット

排尿のコントロールができず、尿が漏れてきてしまうために電車に乗れない方や、ゴルフのスイング時に漏れてしまうためゴルフに行けなかったという方からは、Xホールド®を導入したことにより、「自由に行動ができるようになった」「友達の誘いを断らず、ゴルフに行けるようになった」など、多くのお喜びのお声を頂戴しております。

男性の尿道はもともと長いので、パッド一枚と併用されることをお薦めしております。

女性医療研究所ではXホールド®を注文いただくことができます。詳しい情報・臨床研究データは、こちらのページ。

性機能障害

前立腺がんの治療後に起きやすい性機能障害には勃起障害、射精障害、性欲減退があります。これらは、薬物療法(ED薬、陰茎注射)や陰茎プロステーシス手術で改善が見込めます。

薬物療法

薬物療法には、PDE type5阻害薬(一般的に「ED薬」と呼ばれるもの)の服薬や、陰茎へのプロスタグランジンE1注射が選択されます。

PDE type5阻害薬としてよく使われるものとして

  • バイアグラ
  • レビトラ
  • シアリス
  • シルデナフィル

があります。

陰茎へのプロスタグランジンE1注射は「陰茎注射(ICI治療)」とも呼ばれ、海外の報告では有効率82%(Otto ILら)で、欧米では多く普及している方法です。

陰茎海綿体自己注射について詳しくはこちら

陰茎プロステーシス手術

陰茎プロステーシス手術とは、シンプルな曲げ伸ばし式(ノンインフレータブルタイプ)のプロステーシス(インプラント)を陰茎海綿体内に移植する手術です。移植後は勃起させたいタイミングにて位置を移動していただくことで、性交に十分な硬さを維持することが可能となります。
年齢制限がないため、幅広い方がこの方法を選択されています。

日帰り陰茎プロステーシス手術について詳しくはこちら

合併症の治療に健康保険は適用になりますか?

合併症の治療に関して、ほとんどの治療には健康保険が適用になりません。通常は自由診療となります。

合併症の症状 治療方法 保険適用有無
尿失禁(尿もれ) 骨盤底筋体操 クリニック等での指導は保険適用外
Xホールド® 保険適用外
勃起障害 ED薬 保険適用外
難治性勃起障害 陰茎注射 保険適用外
難治性勃起障害 日帰り陰茎プロステーシス手術 保険適用外

この記事の監修医師

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
(泌尿器科)センター長

永尾 光一 先生

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域(主に陰茎・陰嚢)の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、男性不妊症をはじめとする様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

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