COLUMN

「じわじわ」「ちょびちょび」と尿漏れが起きるようになり、不安や恥ずかしさを感じる女性は多く見られます。

外出時や仕事中に不意に起こる尿漏れは、女性にとって非常に深刻な悩みです。「吸水パッドで対処できるから」と放置すると、症状が重くなりかねないため、早期の対策が重要です。

本記事では、じわじわ尿漏れを引き起こす代表的な尿失禁の種類や、原因をわかりやすく解説します。受診の目安と自宅でできる行動療法も紹介するので、尿漏れ対策に前向きに取り組みたい方はぜひご一読ください。

じわじわ尿漏れを起こす尿失禁の種類

尿漏れには、以下のような種類があります。

  • 腹圧性尿失禁
  • 切迫性尿失禁
  • 溢流性尿失禁

日常のささいな動作や突然の尿意によって起こる尿漏れは、多くの女性が経験する問題です。症状の違いを理解することが、自分に合った対策の第一歩になります。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみをしたり、重い物を持ち上げたりなど、お腹に力が入った際に尿が漏れてしまう状態です。女性に非常に多く見られ、加齢や出産などによって骨盤底筋の筋力が弱まり、尿道を締められなくなることで発症します。

尿意を感じていないにもかかわらず尿が漏れてしまうため、日常生活に支障をきたす可能性があります。軽度の場合は骨盤底筋体操によって改善が期待できるものの、進行すると外科的治療が必要になりかねません。

切迫性尿失禁

切迫性尿失禁は、急に強い尿意が起こり、トイレに間に合わず尿が漏れてしまうタイプの尿漏れです。以下のような病気との関連が指摘されているものの、原因不明のケースが多いといえます。

  • 過活動膀胱や膀胱炎といった膀胱の病気
  • 骨盤臓器脱
  • 神経系の病気

切迫性尿失禁では、突然の尿意と同時にじわじわと尿が漏れ始めることもあり、外出・仕事中に強い不安を感じる方は少なくありません。市販の吸水パッドで一時的な対処はできますが、症状のコントロール・改善には膀胱訓練や薬物療法が有効です。

溢流性尿失禁

溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)は、排尿後の残尿が多いことで膀胱に尿が溜まりすぎ、自分の意思とは関係なく少量ずつ尿が漏れ出てしまう状態です。

一度に大量に失禁するのではなく、少しずつじわじわと尿漏れすることが特徴です。尿が容量を超えて溜まり続けることで膀胱の柔軟性が低下し、尿意を感じにくくなっている方も多くいます。

トイレで排尿してもスッキリしない・尿意がないのにじわじわと尿漏れする場合、膀胱から尿を出す機能が低下している可能性があります。

女性に多いじわじわ尿漏れの原因

女性に多いじわじわ尿漏れの主な原因は、以下のとおりです。

  • 過活動膀胱
  • 骨盤底筋の緩み
  • 骨盤臓器脱
  • 糖尿病
  • 膀胱炎

尿漏れは、「加齢のせい」と片付けられがちですが、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生します。思い当たる原因がある場合は病院で診察・検査を受け、適切な対策につなげることも1つの手です。

過活動膀胱

過活動膀胱は、膀胱が過敏になり、尿が十分に溜まっていなくても排尿したくなる状態です。頻尿や夜間頻尿をともなうケースが多く、トイレに間に合わずじわじわ漏れが起こります。

過活動膀胱の種類と代表的な原因は、以下のとおりです。

神経因性・脳梗塞
・脳出血
・パーキンソン病
・脊柱管狭窄症
・脊髄損傷
非神経因性・出産や肥満などによる骨盤底筋へのダメージ
・加齢による筋力の低下
・原因不明(突発性)

非神経因性が8割以上を占め、過活動膀胱の症状は加齢とともに見られやすくなっていきます。生活の質を大きく損なわないためには、膀胱訓練や薬による治療で症状をコントロールすることが肝心です。

骨盤底筋の緩み

骨盤底筋の緩みは腹圧性尿失禁を引き起こしやすく、じわじわ漏れの原因となります。

骨盤底筋とは、膀胱・子宮・直腸といった骨盤内の臓器を下から支えている筋肉群で、尿道の締まりにも関わる重要な部位です。骨盤の底にある筋肉が緩む主な原因は、以下のとおりです。

  • 妊娠・出産
  • 女性ホルモンの減少
  • 肥満
  • 運動不足
  • 長時間の立ち仕事

骨盤底筋が緩むと、咳やくしゃみ、重い物を持ち上げたときの腹圧に耐えきれず、尿漏れするリスクが高まります。骨盤底筋体操や骨盤をサポートするアイテムによって尿漏れの改善が期待できるため、積極的に取り入れましょう。

骨盤臓器脱

骨盤臓器脱は、骨盤の支持組織が弱まり、膀胱・子宮・直腸などが下垂する病気で、じわじわ尿漏れの原因の1つです。骨盤臓器脱の代表的な原因は、以下のとおりです。

  • 出産経験
  • 長年の便秘
  • 慢性的な咳
  • 肥満
  • 加齢

骨盤内の臓器が腟口に近づいたり脱出したりすると、膀胱が圧迫され、排尿トラブルを引き起こす場合があります。骨盤臓器脱を発症している方の37%に尿失禁経験があるという報告も見られます。

骨盤臓器脱が重症化すると、腟から出た臓器が下着と擦れて出血し、痛みで歩行が困難になる方もいるため、早めに対処しましょう。

糖尿病

糖尿病も、じわじわ尿漏れの原因の1つです。血糖値が高い状態が続くと、以下の合併症を引き起こしやすく、尿意切迫感や残尿感とともに尿漏れが慢性化しがちです。

  • 神経障害による膀胱機能の低下
  • 過活動膀胱
  • 腹圧性尿失禁

糖尿病の方は尿路感染症にかかりやすいため、頻繁な膀胱炎が尿漏れの誘因になるケースもあります。肥満が糖尿病の原因になっていると、お腹の脂肪が骨盤底筋を圧迫し、尿失禁が起きやすい状態です。

糖尿病の治療を受けており、尿漏れをともなっているなら、泌尿器のケアも取り入れましょう。

膀胱炎

女性に多く見られる、じわじわ尿漏れを招く原因の1つは、細菌が膀胱内に侵入して炎症を起こす膀胱炎です。女性は、以下の理由から膀胱炎の発症リスクが男性より高いといえます。

  • 尿道が男性より短い
  • 尿の出口が肛門や腟口に近い

膀胱炎が起きると膀胱の粘膜が過敏になり、わずかな尿でも強い尿意を感じ、トイレに間に合わず、じわじわと漏れることがあります。

膀胱炎の治療には抗生物質の服用が有効であり、再発防止には、水分補給の方法や排尿後の拭き方などの見直しが不可欠です。

女性のじわじわ尿漏れ|受診の目安

軽い尿漏れであっても、以下の項目に心当たりがある方は泌尿器科での受診を検討しましょう。

  • 尿漏れが気になって外出しにくい
  • 尿漏れが精神的なストレスになっている
  • 頻繁にちょび漏れがある
  • 急な尿意を我慢できない
  • 下腹部に違和感がある
  • 日夜問わず頻尿の症状がある
  • 残尿感や排尿痛をともなう

女性専用であったり、泌尿器科と婦人科の両方に詳しい医師が在籍するウロギネ外来を設置していたりする病院もあり、相談しやすい環境が整っています。早期受診により、症状の進行防止や改善が望めるため、恥ずかしくても勇気を出して病院へ行くことを推奨します。

医療的なじわじわ尿漏れ対策|手術・薬物療法

じわじわ尿漏れの原因が明確で、日常生活に支障が出ている場合に行われる手術・薬物療法は、以下のとおりです。

治療法尿漏れの種類手術・薬剤名
手術療法腹圧性尿失禁・TVT手術
・TOT手術
薬物療法切迫性尿失禁・抗コリン薬
・β3アドレナリン受容体作動薬
腹圧性尿失禁β2アドレナリン受容体刺激薬

手術・薬物療法においては、医師による正確な診断と適切な方針決定が重要です。薬によっては、副作用が出たり、持病がある方は服用に注意が必要であったりします。

症状の進行度や体への影響、生活スタイルを考慮し、自分に適した治療法を選びましょう。

自分でできるじわじわ尿漏れ対策|行動療法

じわじわとした尿漏れに対しては、日常生活のなかで取り組める、以下の行動療法も有効です。

  • 骨盤底筋体操
  • 膀胱訓練
  • 生活習慣の改善
  • フェミクッション ハピネスの活用

重症化していなければ、自分でできる対策の継続により改善が期待できます。

骨盤底筋体操

骨盤底筋体操で骨盤底の筋肉を鍛えると、排尿コントロールがしやすくなるため、じわじわ尿漏れの予防・改善に役立ちます。

骨盤底筋体操とは、尿道・肛門・腟をキュッと締める動きを意識的に繰り返すトレーニングです。10秒間ごとに締める・休むというサイクルを10回反復し、1セットとします。1日あたり5セット以上を毎日続けることが理想です。

立っているときだけでなく椅子に座った状態や仰向けでもできるため、日常生活に無理なく取り入れられます。骨盤底筋体操を継続すると、筋肉の張力が回復し、尿道の締まりを改善できるでしょう。

骨盤底筋のトレーニング方法を詳しく確認する

膀胱訓練

膀胱訓練は、頻尿や切迫性尿失禁によるじわじわ尿漏れに有効な行動療法の1つです。トイレに行く間隔を徐々に延ばし、膀胱に尿を溜めたり、尿意をコントロールしたりする力を育てることが目的です。

膀胱訓練を始める際は、排尿記録をつけて自身の排尿パターンを把握し、5~10分といった無理のない範囲で、尿意を感じてもトイレを我慢しましょう。深呼吸で心を落ちつかせ、脚をクロスさせるといった行動で尿意を抑え、排尿を我慢する練習を繰り返します。

訓練中も排尿記録をつけて効果を実感しやすくし、徐々に我慢する時間を長くしていってください。

生活習慣の改善

じわじわ尿漏れは個人の習慣とも深く関係しているため、生活を見直して改善すれば、症状を和らげられる可能性があります。以下の項目に当てはまる場合は、膀胱や骨盤底筋に余計な負担をかけてしまい、尿漏れが悪化しかねません。

  • 便秘
  • 肥満
  • 喫煙
  • 過度なカフェイン・アルコール摂取
  • 辛い食べ物好き
  • 水分の過不足
  • 下腹部を冷やす服装や室内温度

食物繊維を多く含む食事を意識して便秘を解消したり、適度な運動で適正体重を維持したりし、骨盤底筋への負担を減らしましょう。

水分は、不足しすぎると尿が濃くなり膀胱への刺激が増すため、適切な量の摂取が重要です。膀胱や尿道にやさしい環境を整え、尿漏れの頻度を減らせるよう、生活習慣を見直してください。

フェミクッション ハピネスで早期から骨盤底筋のケアを

骨盤底筋の緩み対策には、ぜひフェミクッション ハピネスをご活用ください。フェミクッション ハピネスは骨盤底筋の働きをサポートするフェムケア用品で、将来の骨盤臓器脱予防に役立ちます。

通常の下着の上に装着するだけで、下からしっかりと骨盤底を押し上げ、腹圧によるダメージの軽減が期待可能です。「骨盤臓器脱を発症してはいないけれど、将来のリスクが心配」という方に、手軽にお使いいただけます。

フェミクッション ハピネスのメリットは、以下のとおりです。

  • シンプルなデザインでパンツラインが目立ちにくい
  • 洗濯して繰り返し使える
  • オンラインで購入可能

悩みが大きくなる前から骨盤底筋のケアに取り組み、毎日を快適に過ごしましょう。

フェミクッション ハピネスで骨盤底筋のケアをする

この記事の監修医師

永尾 光一

永尾 光一 先生

一般社団法人日本精索静脈瘤協会 理事長
医療法人社団マイクロ会 理事長
銀座リプロ外科 院長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

この記事の執筆者

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役。日本における女性疾患についての認知や理解度の低さに危機感をおぼえ、医療機器開発に着手。子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱の治療に用いる「フェミクッション」を開発し、三井メディカルジャパンを通じて発売。

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