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などの症状、人に言えずに一人で悩んでいませんか? このような症状は、「骨盤臓器脱」や「膣脱」と呼ばれる病気の可能性があります。
午前中よりも、夕方や夜になると症状が強くあらわれ、排尿や排便に支障が出ることもあります。読んで字のごとく臓器が出てきてしまう病気なので恐ろしく感じるかもしれませんが、特に出産を経験した多くの女性が悩んでいる一般的な病気です。
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)とは、膣のヘルニアなどとも呼ばれ、子宮・膀胱・尿道・小腸・直腸などが、女性器(膣)に下垂し膣外に出てきてしまう病気です。別名「性器脱」、「膣脱」ともいわれ、古には「なすび」と言われた疾患です。中高年の方に多く発生し、妊娠や出産、肥満や加齢などが主な原因と言われています。
目次
「骨盤底筋」と呼ばれる臓器を支える筋肉が弱ることで起きます。妊娠や出産、加齢、子宮摘出手術なども原因と言われます。
詳しくはこちらをご覧ください。
下腹部に違和感がある、子宮が下がる感じがする、トイレに行ってもスッキリしない、ピンポン玉のようなものが出てくる、といった症状を訴える方が多いようです。また、夕方になると違和感や異物感が強くなることも特徴です。
意外と多くの女性が骨盤臓器脱を患っており、有病率は女性の5~10%と言われています。骨盤臓器脱は病気柄、誰にも言えず一人で悩んでいる方が多いのが現状です。
根治のためには手術が必要です。しかし、手術にはリスクも伴うことから、手術をせずに症状を和らげる「保存的治療法」も多く行われています。保存的治療法に関しては、多くの医療機関でフェミクッションが用いられています。
フェミクッションは、骨盤臓器脱の治療・予防のための医療機器です。骨盤臓器脱には子宮脱や膀胱瘤、直腸瘤、小腸瘤などの骨盤臓器脱にお使いいただけます。つらい思いをされている患者様のために、新しい医療機器として開発されました。
当社が独自に開発したクッション・ホルダー・サポーターを組み合わせて使用します。
ホルダーに固定したクッションで膣口をおさえ、サポーターで押上げるように保持。腹圧がかかっても臓器が外に出ないようにします。
フェミクッションの最大の効果は、腹圧がかかったときに臓器が外に出るのを防止することです。必要なときに自分で簡単に装着でき、他人からわかりにくい下着のような見た目で、ストレスなく使用していただけます。
装着後はすぐに症状を緩和でき、痛みや出血の悩みから解放されます。また、臓器や膣粘膜に負担を与えることなく進行を防ぐことが可能です。
骨盤内臓器(子宮、膀胱、直腸)は、筋肉、靭帯、筋膜で構成された骨盤底筋によって支えられています。骨盤臓器脱は、それらの組織が弱くなり、膣から骨盤内臓器が1つまたは複数出てきてしまう病気です。
最初は膣から何かが落ちてくるだけですが、進行すると排尿困難や排便困難、性機能障害なども起こるようになります。痛みや出血のため、歩行困難になるなど、著しくQOL(生活の質)を低下させます。
また、恥ずかしさから病院にも行けず、家族や知人にも言えず、人知れず悩んでしまう病気でもあります。
出てくる臓器によって、子宮脱・膀胱瘤・尿道瘤・小腸瘤・直腸瘤と呼ばれていて骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)とはその総称です。
海外ではPelvic Organ Prolapse (POP)の名称を用いられ、日本でも骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)という名称が使われるようになりました。
骨盤臓器脱の症状はフェミクッションで改善できます。病院に行けない方やリングペッサリーが合わない方など、幅広くご利用いただけます。
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の中でも一番多いのが膀胱瘤です。
膀胱瘤は膀胱が膣内に下がってしまう症状です。最初は尿失禁を伴うケースが多いようです。さらに進行すると尿道よりも膀胱下がることから、尿閉となり排尿しても尿が十分に出切らなかったり、尿が出にくいなど排尿困難な状態になります。
こうなってしまうと、膀胱への腎臓からの尿の流れも障害され水腎症となり、腎不全になることもあります。
子宮脱では、子宮が膣内に下垂してくるため、靱帯が引っ張られ、痛みを感じます。
さらに子宮脱の症状が進むと子宮が体外に脱出し、痛みや出血を伴います。
子宮下垂・子宮脱とは?中高年を中心に起こる病気について
骨盤底の筋肉と靭帯が伸びて弱まり、子宮の正常な支持が失われると膣へ下垂し、症状がひどくなると膣外へ脱出します。骨盤臓器脱の疾患の一つです。
子宮は通常、骨盤内のさまざまな筋肉、組織、靭帯で固定されています。妊娠、出産により、一部の女性ではこれらの筋肉が衰弱します。また、加齢に伴いホルモンエストロゲンが失われることなどにより引き起こされます。
子宮脱は、女性であれば誰しもがかかる可能性があります。特に、1回以上の経腟分娩を経験した閉経後の女性はリスクが高くなります。
軽度の子宮脱は治療を必要としませんが、子宮脱により不快感が生じたり、通常の生活が妨げられたりした場合は、治療をする必要があります。
このページでは、子宮脱の症状や原因、治療方法についてご紹介しています。
骨盤内臓器は、骨盤底にある骨盤底筋群と呼ばれる筋肉や靭帯が支えています。子宮脱は、以下のような条件により、骨盤底筋の損傷が起こる事で、症状を引き起こします。
この様に原因は様々ですが、特に妊娠と出産大きなリスクとなっています。
妊娠と出産時の骨盤臓器脱へのリスク
第1度:子宮が膣に落ちます。膣の入り口から1㎝まで近づいてる状態です。(子宮下垂)
第2度:子宮が膣口のすぐ内側のレベルまで下がります。排尿障害を引き起こします。
第3度:子宮が膣外へ突き出してきます。
第4度:子宮全体が膣外に完全に出てきている状態です。
子宮脱の検査は婦人科を受診します。膀胱瘤なども併発している場合も多いため、最近では女性泌尿器科などでも診察を行っています。予め医療機関に問合せをするか、ネットで調べるなどして、骨盤臓器脱の治療を行っているか確認してから受診されることをお薦めいたします。
診察時は、問診、内診、その他の検査が行われます。
初経・閉経を迎えた年齢や月経周期などの月経歴について
妊娠や出産歴について
既往歴や過去の手術歴について
いつ頃から症状が出たのか
診察は主に触診と、器具を用いた内診が行われます。
最初に、膣の状態や外陰部の異常を確認します。
子宮脱の程度を確認するために、腹圧を加え子宮の下垂の程度を観察します。
診察には主に触診と内診に加えて、尿失禁や排尿困難といった症状がある場合、膀胱内に造影剤を入れレントゲン検査が行われます。以前は、排尿をしながらの撮影だったため、なかなか排尿できず患者さんの精神的負担も伴いました。最近では、尿道にチェーンを入れることにより、簡単に撮影ができるようになりました。尿道の位置を把握することにより、排尿困難の有無、術後尿失禁の可能性などの評価をします。
その他、MRIやCT、超音波やウロダイナミクス検査などは、患者さんの状態に合わせ、医師が判断し、必要であれば行われます。
子宮脱の治療には、自分で出来る予防法から、保存的治療や手術療法があります。ご自身の年齢や身体の状態、子宮脱の状態や、生活状況などに応じて適切な方法を選択します。
保存的治療をまずは行って、効果がない場合は手術を行います。
骨盤臓器脱に対する”メッシュ手術”は2000年にフランスで開発されました。メッシュとは、人工素材を網目状に縫ったシートで、ヘルニア手術などで使われていました。改良が重ねられて、骨盤臓器脱の治療にも使われるようになっています。
メッシュ手術のひとつであるTVM手術は膀胱瘤、P-TVM手術は子宮脱、直腸瘤で行われます。
どちらも臓器を切除しないため患者様への負担が少なく、手術は短時間です。
再発や合併症のリスクも少ないといわれています。
子宮脱はすべての状況で予防できるとは限りません。ただし、リスクを軽減するためにいくつかのことを行うことができます。定期的な運動をする、健康的な体重を維持する、骨盤底筋体操の練習、慢性便秘や咳などの治療などが主な予防方法として挙げられます。
日頃から出来るもの、初期の子宮脱の方には骨盤底筋体操で骨盤の筋肉を鍛えます。骨盤底筋体操はケーゲル体操とも呼ばれます。(運動を発見したケーゲル博士に由来。)症状を改善や、進行を遅らせることはもちろん、軽度の腹圧性尿失禁にも有効です。
骨盤底筋体操は、寝ながら、椅子に座って、立ったままなど様々な体勢で行うことが出来ます。
【骨盤底筋体操の方法】
寝ている状態:仰向けに寝て、足を肩幅に開き、膝を少し立てる
椅子に座る状態:椅子に浅く腰掛ける
立っている状態:つま先立ちになる
深呼吸をして身体の力を抜く
肛門や膣をしめてゆっくり10数える
そして力を抜いてリラックス
これを10回繰り返し、朝晩行うことがお薦めです。
直腸が膣内に落ち込み、膣の壁ごと直腸が出てくることを直腸瘤と言います。
便意をもよおしいきんでも、排便できなかったり、残便感が残ったりと、排便困難にもなります。
人によっては、膣内に指を入れ、膣を押さえながら排便しなくてはなりません。
便が硬い人には、便を柔らかくするための薬が処方されます。食事療法などで改善が見られない場合には、骨盤臓器脱メッシュ手術(TVM)や腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)などの手術が行われます。
便秘をしないようにし、毎日スムースな排便を心がけるようにします。便秘をしていると、慢性的に骨盤底筋に圧がかかり、直腸瘤をはじめその他の骨盤臓器脱を誘発してしまいます。
便秘がちな人は、水分摂取量を増やしたり、食物繊維をしっかり摂るといったことも日頃の対策となります。
また、トイレでは長く息まないようにし、なるべく短時間で排便をするようにするよう心がけることも大切です。
子宮摘出した後に膣の一番奥の部分が下がってきたものを小腸瘤(膣断端脱)といいます。
膣脱とは、骨盤臓器脱(性器脱)の別名です。膣から子宮や膀胱、直腸などが脱出するため、膣脱と呼ばれていました。
子宮摘出などで、子宮と膣が切り離されている場合、切り離した断面(膣断端・ちつだんたん)が脱出することがあり、これは「小腸瘤(しょうちょうりゅう)」もしくは「膣断端脱(ちつだんたんだつ)」と呼ばれています。
代表的な症状は、下腹部の違和感や下垂感(下がっている感じがする)です。
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)は、骨盤内の臓器を支えている骨盤底を構成している筋肉や靭帯(骨盤底筋群)が脆弱になるために膣のある部分、もしくは全部が下垂してきて、重症になると外陰の外まで脱出してきてしまいます。 これらの骨盤内の臓器が体外に脱出すると、臓器が空気にさらされることにより粘膜が乾燥し皮膚化してきたり、下着に摩擦などで出血を伴い、歩行困難、尿失禁や排尿障害、便失禁や排便困難などの症状を招き、日常生活が著しく阻害されます。
また、症状は下垂してきた臓器によってまちまちで、排尿に違和感がある、トイレが近い、また逆に尿が出にくい、などの症状が出たり、便秘気味になったりすることもあります。
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)自覚症状として、排尿障害や排便障害、さらに性交障害をきたし、さらに疼痛、違和感、下垂感、出血などを伴うことより、大きく生活の質(QOL)を落とします。この強い不快感があるにも関わらず、家族にも言えず誰にも相談できずに一人で悩みがちになります。またそのまま放っておくと、ますます症状は悪化してしまいます。
具体的な初期の症状としては、以下のようなものがあります。
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)になり、臓器が体外へ脱出すると、脱出した粘膜の表面が乾燥し、下着や皮膚と擦れて痛みを生じ、歩行困難にもなります。
多くの人は、長時間立っていられず、炊事や掃除機をかけるなどの家事をするのが億劫になり、スーパーでの買い物もできず、家の階段もつかまりながらよじ登るようにしなくてはいけないなど、ただひたすら家でじっと座っているしかないという状況を訴えます。
また、一人で悩みがちな病気なことから、次第に引きこもりとなり、社会生活をも営めなくなる人も多いのが現状です。
治療には、当社が骨盤臓器脱に悩む患者様のために開発した「フェミクッション」の使用がおすすめです。フェミクッションは、クッション・ホルダー・サポーターを組み合わせて使用します。
フェミクッションの効果は、腹圧がかかったときに臓器が外に出るのを防ぎ、臓器脱の進行をも防ぐことです。膣口にあてるクッションは柔らかいシリコーンゴムでできており、優しく臓器を受け止めて、体内に保持します。装着後はすぐに症状を緩和でき、痛みや出血の悩みを解消する新しい医療機器です。
・装着後すぐから症状を緩和できる
・臓器や膣粘膜に負担を与えることなく進行を防ぐ
・リングペッサリーが使用できない人や合併症で手術ができない人も使用できる
・必要な時に自分で簡単に装着できる
・下着のような見た目で他人に知られにくい
・お手入れによって繰り返し使用できる
ホルダーにクッションをセットし、サポーターに固定します。
クッション部分が膣口にあたるようにサポーターを履きます。
縦と横のベルトを調整し、クッションを膣口に密着させ固定します。
横ベルトを外し、サポーターを下して排泄します。この時、臓器が出ていなければそのまま再度装着可能です。もし臓器が出ている場合は、体内に入れてから装着して下さい。
就寝前には取り外してお手入れをしてください。
ホルダーとサポーターは手洗いもしくはネットに入れて洗濯、クッションは水洗いします。
フェミクッション | 骨盤ベルト | |
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圧迫の方向 | ||
圧迫の方向 | 下から上への圧迫(吊り上げ) | 横方向の圧迫 |
圧迫する臓器 | ||
圧迫する臓器 | 脱出した骨盤臓器 | 骨盤の骨 |
圧迫するメカニズム | ||
圧迫するメカニズム |
①膣内までクッションで優しく持ち上げる![]() ②縦ベルトによる吊り上げ ![]() |
骨盤臓器に対する圧迫効果なし![]() |
骨盤臓器脱に対する 効果 |
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骨盤臓器脱に対する 効果 |
有用 | 無効(骨や靭帯の可動性は出産直後でも1cm未満のため) ※腹部に巻くと腹圧が高まり悪化する |
骨盤臓器脱による 排尿障害に対する効果 |
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骨盤臓器脱による 排尿障害に対する効果 |
有用 | 無効(上記理由による) ※腹部に巻くと腹圧が高まり悪化する |
骨盤臓器脱による 排便障害に対する効果 |
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骨盤臓器脱による 排便障害に対する効果 |
有用 | 無効(上記理由による) ※腹部に巻くと腹圧が高まり悪化する |
国の認定 | ||
国の認定 | 医療機器 | 雑品 ※効能効果を謳うことこはできない 骨盤臓器脱や尿失禁の効果があると言って 売られている商品があるのでご注意ください |
骨盤臓器脱の一番大きな原因は出産です。分娩により、「骨盤底筋」と呼ばれる筋肉や靭帯がダメージを受け、加齢に伴って臓器を支える力が弱くなり、子宮や膀胱、直腸や小腸などが膣に落ち込みやすくなります。
また、子宮がんや子宮筋腫の治療のために、子宮摘出手術(外科手術)を受けた女性は、その部分に空洞ができ、そこに向かって周辺臓器が落ち込んできてしまいます。
その他、子宮は靭帯で支えられているため、子宮がんや子宮筋腫の治療のために子宮摘出手術(外科手術)を受けた場合は、これまでの支えがなくなってしまいます。また、子宮のあった部分が空洞になるため、膀胱や直腸や小腸などの周辺臓器が膣に落ち込みやすくなります。
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の主な原因は、何といっても「出産」ですが、そのほかに慢性的に腹圧をかける状況も大きな原因です。
具体的には、喘息、花粉症、職業的に立ち仕事、農業、庭仕事、ある種のスポーツ、便秘、肥満、などです。長期に渡りコルセットやガードルで腹部を締付けたり、家族の介護のため重いものを持ち上げたりしている人にも多く見られます。
更年期や加齢なども大きな要因です。また、子宮癌や子宮筋腫などで子宮摘出術を以前受けたことのある人にも多くみられます。これはこれまで靱帯に支えられていた子宮を取ってしまうため、支えがなくなることから起こります。またお腹にポッコリ空洞ができるので、他の臓器がそこに落ち込んできます。
出産時にかかるリスクとしては、経膣分娩、3,500グラム以上の大きな赤ちゃんを産んだ人、高齢出産、会陰切開、妊娠中の喫煙などです。また吸引分娩や鉗子分娩で赤ちゃんと共に子宮が出てきてしまう(子宮脱)ケースもあります。
昨今の日本においては骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)は、この病気の治療に携わる専門医も不足しており、治療方法もリングペッサリーの装着あるいは手術と限られております。
治療についても、授産を望む女性は、リングペッサリーも手術も適応外であり、リングペッサリーがどうしても適さない方、或いは癌の治療や糖尿病などの持病のため手術を受けられない人も多くいるのが現状です。
更に骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)は、日本では認知度が低く、実際に症状があっても、病気と気が付かずに放置をしてしまう人もいます。また、医療機関を訪れたくても恥ずかしいなどの理由で受診を拒んでしまう人も多く、命には関わらないため、家族からも孤立し1人悩んでしまうというケースが多い病気です。
海外では3人に1人が罹患しているとのデータがあり、日本でも同様に潜在患者がいると推察されます。(Olsen AL et al. Epidemiology of surgically managed pelvic organ prolapse and urinary incontinence. Obstet Gynecol 1997;89:501-6)
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)は、日本では、病気自体の認知度は低く、羞恥心などから受診を拒むケースも多いため、実際の患者数は把握されていません。
また実際に骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の症状のある人でも、どこの医療機関を訪れればよいかわからず生活している人も多くいます。
しかしながら実際の患者数は大変に多く、米国の報告によると、全女性の75%が骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の因子をもっていて、実際に外陰外まで出てくる「重症型」の者は、このうちの5%といわれています。
一方他の報告では全女性の11%が骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)であるとしたものや、北欧ではSamuelsonらの報告で、50歳以上の女性の30%は骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)であるとしたものもあります(文献)。本邦においては上記の理由から疫学的な調査がなされておらず、正確なデータはありませんが、全女性の約1割としても大変な数の患者がいることになり、これから高齢者社会を迎えつつある現在、まさに国民病のひとつであるといっても過言ではありません。
<参考文献>
Olsen AL et al. Epidemiology of surgically managed pelvic organ prolapse and urinary incontinence. Obstet Gynecol 1997; 89: 501-6
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)になり、実際に手術を希望して、勇気を出して病院へ行っても、対応できる医師はあまり多くありません。
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の診察は、婦人科、泌尿器科、女性外来などで対応するのですが、きちんとこの疾患を治療できる専門医がまだまだ少ないのが実状です。
ある患者さんは、子宮脱になり、それまでに8箇所の大学病院を含めた大病院へ行ってみてもらったが対応できず、やっと9箇所目に専門医に診てもらえたいわれたこともあります。
また都市部はまだ何とかなっても、ほとんど対応できる医師が1人もいないような地域もあります。その地域の患者にとっては救いようがありません。リングペッサリーすら対応できないのが現実です。
しかしまだ長期間待機してもこの手術ができる方は幸せで、糖尿病や心臓など重篤な合併症があるため手術ができない方も大勢いるのです。
病院を受診する際は、予め医療機関に問合せをするか、ネットで調べるなどして、骨盤臓器脱の治療を行っているかを確認してから受診されることをお薦めいたします。
診察は主に、触診と内診に加えて、膀胱内に造影剤を入れレントゲン検査が行われます。以前は、排尿をしながらの撮影だったため、なかなか排尿できず患者さんの精神的負担も伴いました。最近では、尿道にチェーンを入れることにより、簡単に撮影ができるようになりました。尿道の位置を把握することにより、排尿困難の有無、術後尿失禁の可能性などの評価をします。
その他、MRIやCT、超音波やウロダイナミクス検査などは、患者さんの状態に合わせ、医師が判断し、必要であれば行われます。
日本における治療方法は大きく分けて2つあります。「手術療法」と「保存的治療法」の2種類です。
手術にはいくつかの方法があり、患者様の年齢や体力、症状や程度によって、医師が判断します。
骨盤臓器脱の手術に関して詳しくはこちら
術式 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
子宮摘出術 | 下がってきた子宮を摘出する方法 | 子宮がんや子宮筋腫のリスクはなくなる | 妊娠できなくなる |
膣縫縮術 | 弱っている膣の壁(筋膜)を縫い縮める方法 | 簡便に行える | 痛んだ組織で形成しているため、再発のリスクがある |
従来法(上記2つを同時に行う) | 子宮摘出後に膣壁を縫い縮める方法(婦人科で最も多く行われている) | 婦人科で最も多く行われていて、低侵襲である | 痛んだ組織で形成しているため、再発のリスクがある |
経膣メッシュ手術(TVM) | 弱っている膣の壁をシート状のメッシュで補強する方法(授産の可能性がある場合は行わない) | ・経腟的に手術をするため開腹せず患者の負担が少ない ・再発のリスクが低い |
日本では安全に行われているが、合併症や後遺症が問題となり、現在海外では禁止されている(注) |
膣の閉鎖 | 膣の前と後ろの壁を縫い合わせて、臓器が落ちないようにする方法 (寝たきりの人を対象とし健常者には行わない) |
短時間で手術が可能 | 性交ができなくなる |
腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC) | おなかに数カ所の小さな穴を開ける腹腔鏡下にて、骨盤臓器脱によって下垂した膣を、メッシュを用いて仙骨へ固定する方法 (授産の可能性のある若い人にも行える) |
・入院期間が短い ・術後の痛みが軽い ・癒着が少ない ・再発率が最も低い |
|
(注)2019年4月16日 FDAは骨盤臓器脱に対する経腟メッシュ手術に使用する外科用メッシュの2社3製品に対し製造と販売を中止
骨盤臓器脱を根治治療は手術になります。手術にはいくつかの方法があり、患者様の症状や年齢、体力などから、適切な手術を医師が判断します。骨盤臓器脱は排尿障害や排便障害、歩行困難などを引き起こすため、そのような症状からも解放されます。保存的治療法が有効でない患者様は手術を選択されます。
骨盤臓器脱の手術の問題となるのは、手術後の再発が多いということです。従来の手術方法では、弱くなった組織を用いて骨盤底を再建するので再発が多く、メッシュを用いた手術であってもメッシュの支持が悪いと再発してきます。メッシュは体にとって異物なため、違和感が生じたり、状態の悪い患者様では術後にメッシュが露出したり、メッシュびらんになったり、メッシュから感染が生じるリスクもあります。
また、この手術はアメリカやヨーロッパでは完全に中止されています。
病院で骨盤臓器脱と診断された後の治療としては、リングペッサリーの装着か手術という2つの治療法しかありません。
リングペッサリーは、ドーナツ状の輪を膣の中に入れて、2~3ヶ月毎に病院にて膣洗浄・リング交換を行います。
簡便なため、比較的行われていますが、どうしても異物を膣内に入れているので、感染を併発し「おりもの」が増加して、異臭に悩まされます。また膣粘膜が傷つき、出血します。さらに当然異物が入っているので、性交障害があります。また膣の形状、大きさなどからリング自体が適応でないケースも多々あります。
ペッサリーやサポーター、ベルトなど、他の医療機器に関して詳しくはこちら
骨盤底筋は、妊娠、出産、手術、加齢、便秘や慢性咳からの過度の負担、太りすぎなど、多くの要因で支持組織が緩み損傷してしまいます。骨盤底筋体操は、子宮、膀胱、尿道、小腸、直腸を支える骨盤底筋を鍛えることができます。場所や時間を選ばずできる簡便な方法です。
立っているとき、座っているとき、家事をしながらでも、人に知られることなく簡単に行える方法です。毎日定期的に行うことにより、尿漏れ(腹圧性尿失禁)や骨盤臓器脱の予防をすることができます。
効果は個人差があり、効果がえられるには時間がかかります。また、初期の骨盤臓器脱の場合は有効で、症状を改善し進行を抑えることができます。しかし症状の進んだ骨盤臓器脱の場合は、臓器が挟まった状態では骨盤底筋体操を行うことがでず、効果も期待できません。この場合は何らかの方法で臓器を体内に収めておく必要があります。
合併症などの理由により手術ができない場合、いくつか保存的治療法があります。主にはリングペッサリーやフェミクッションの装着となります。
しかしリングペッサリーを症着している状態は、膣内が広がってしまっているので、骨盤底筋体操をするには適していない状態と言えます。一部の医療機関では、リングペッサリーの自己脱着を推奨していて、それができる患者さんには骨盤底筋体操は有用です。
フェミクッションは、患者さん自身ができる方法です。定期的に病院に通院できない、合併症や経済的理由ですぐに手術ができない、手術までリングペッサリーを外している期間など、履くだけで簡単に臓器を体内に収めておくことができます。
何らかの骨盤臓器脱・膣脱の症状を抱えている人の割合は、閉経後の女性で約40%だと言われています。別の調査では、50代の女性の有病率は55%です。高齢になるほど有病率は上がりますが、20代や30代の患者様もいます。
当社が開発した、骨盤臓器脱の新しい治療を目的とした医療器具です。日常生活の快適さを取り戻すために開発されました。
フェミクッションについて詳しくはこちらをご覧ください
クッション・ホルダー・サポーターを組み合わせて使用します。クッションを膣口にあてて固定することによって、臓器が体外に出ることを防ぎます。
リングペッサリーが適さない方や希望しない方、手術前後の管理、出産を希望されている方、パートナーに知られたくない方などに適した治療方法です。
クッションは臓器を受け止める役割、ホルダーはクッションのずれ防止とおりものや尿漏れの吸収をする役割、サポーターはベルトを使って固定する役割があります。
腹圧がかかったときに臓器が外に出るのを防ぎます。また、臓器や膣粘膜に負担をかけることなく、臓器脱の進行を防ぐことが可能です。膣口にあてるクッションは柔らかいシリコーンゴムでできており、体内に挿入したり留置したりするものではありません。臓器を優しく受け止めて、体内に保持します。
装着後はすぐに症状を緩和でき、痛みや出血の悩みから解放されます。これまでつらい思いをされてきた患者様も、安心して日常生活を送れます。
MRI画像は、骨盤臓器脱の患者様へフェミクッションを装着する前と、装着した後のものです。上から、(a) 膀胱瘤、 (b) 子宮脱、(c) 腸瘤と 直腸瘤、(d) 完全な外反 となります。
黄色の点線(半球状)がフェミクッションの位置です。すべての患者様において、フェミクッションの装着によって脱出臓器を高い位置に支え、骨盤臓器脱が改善されているのがわかります。
出典 Nomura Y, Yoshimura Y, et al: Magnetic resonance imaging evaluation of the effectiveness of FemiCushion in pelvic organ prolapse. J. Obstet. Gynaecol. Res., 48(5): 1255-1264, 2022
A:臓器を支える「骨盤底筋」という筋肉が弱り、子宮や膀胱などが下垂(出てきてしまう)する病気です。症状に関して詳しくはこちらをご覧ください。
A:根治させるには手術をする必要があります。しかし、手術にはリスクを伴うため、手術をせずに症状を抑える「保存的治療法」を取ることもあります。保存的治療法にはフェミクッションなどが用いられます。
A:下腹部に違和感がある、子宮が下がる感じがする、トイレに行ってもスッキリしない、ピンポン玉のようなものが出てくる、といった症状を訴える方が多いようです。また、夕方になると違和感や異物感が強くなることも特徴です。
加藤久美子,鈴木省治:腹圧性尿失禁・骨盤臓器脱の症状診断とメッシュ手術の動き.日本医事新報,4456:49-55, 2009.
加藤久美子編:別冊きょうの健康「女性の尿トラブル」,2010刊行
Paulo Palma et al. Femicushion™: a new pessary generation – pilot study for safety and efficacy. Pelviperineology 2016; 35: 44-47
加藤久美子,鈴木省治 骨盤臓器脱に対するサポート下着の使用経験 臨床泌尿器科 第64巻 第10号 別冊 2010年9月20日発行
加藤久美子,鈴木省治, 鈴木晶貴ほか:女性骨盤底疾患の保存的治療:サポート下着(フェミクッション). 日本女性骨盤底医学会誌9:30-36, 2012
加藤久美子,鈴木省治, 鈴木弘一, 服部良平:排尿障害プラクティスの保存的療法:日本女性骨盤底医学会誌2013年6月10日発行 第21巻2号
Hampel C, et al. Urology. 1997;50 (suppl 6A):4-14.
Samuelsson et al, Am J Obstet Gynecol 1999
Magnetic resonance imaging evaluation of the effectiveness of FemiCushion in pelvic organ prolapse
永尾 光一 先生
東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長
昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。
所属医療機関
株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役
三井 桂子
株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役。日本における女性疾患についての認知や理解度の低さに危機感をおぼえ、医療機器開発に着手。子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱の治療に用いる「フェミクッション」を開発し、三井メディカルジャパンを通じて発売。
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