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尿もれや頻尿の原因は骨盤底筋にあり?骨盤底筋の解説と鍛え方

尿もれや頻尿の症状を自覚しながらも、治療をできていないという方は多いのではないでしょうか? 尿もれや頻尿はデリケートな悩みなので相談しづらく、つい困っていることを隠しているという方もいると思います。

尿もれや頻尿の原因はさまざまですが、骨盤底筋の緩みが原因となっている場合もあります。日々の悩みから解放されるためにも、自身の症状を正しく理解し、治療や改善策を取り入れられるようにしましょう。

尿もれや頻尿の原因

尿もれや頻尿の原因は主に4つの理由が考えられます。

一言で「尿もれ」や「頻尿」と言っても、原因は1人ひとり異なります。自身の身体がどのような状態で、なぜ尿もれや頻尿が起こるのか理解することは、適切な治療法を行うためには欠かせません。

また、女性と男性でも尿もれや頻尿の原因は変わります。身体の仕組みや経験が違うため、どのような経緯で尿もれや頻尿の症状が表れているか正しく理解しましょう。次の4つの原因に当てはまる項目があるか確認してください。

腹圧性尿失禁

運動や咳、くしゃみ、走ったり跳んだりといった動作を行った際に尿もれを起こすのが腹圧性尿失禁です。

原因は骨盤底筋の緩みです。骨盤底筋は出産や加齢などによって緩まるため、避けられない変化といえるでしょう。女性の場合は更年期に入ると女性ホルモンのエストロゲンが減少します。年を重ねた女性が尿もれや頻尿の症状が起こりやすいのはエストロゲンの減少により、骨盤底筋が緩むのが原因です。

切迫性尿失禁

急に尿意を感じたり、トイレまで我慢できずに漏れてしまったりするのが切迫性尿失禁です。代表的な原因は、脳の血管障害により尿意のコントロールがうまくいかなくなることです。他にも、男性の場合は前立腺肥大症、女性の場合は臓器脱が原因となって起こる症状です。自身の身体の変化をよく理解しておきましょう。

溢流性尿失禁

尿意を感じたときにうまく排泄できず、少しずつ漏れてしまう症状が溢流性尿失禁です。男性の場合は前立腺肥大尿や尿路結石、女性の場合は子宮筋腫や子宮脱、膀胱瘤が原因として挙げられます。トイレではない場所で失禁してしまうため、特に外出時にストレスを感じやすい症状だと言えるでしょう。

機能性尿失禁

排尿の機能に問題はないものの、認知症や身体の動きの悪化によって尿もれを引き起こすのが機能性尿失禁です。トイレに行く行動の失念や、トイレに行きたい意思をうまく表現できないことから起こります。

他の病気や原因が失禁を引き起こしている状態なので、おむつを上手に取り入れながら対処するのがよいでしょう。

骨盤底筋の仕組みと役割

骨盤底筋は骨盤の底にあり、骨盤内にある子宮や直腸、膀胱などが正しい位置に収まるよう支える役割があります。

骨盤底とは、骨盤の底にある12cm~14cmの空洞を指します。その空洞に骨盤底筋があり、20代の女性では5~9cmの厚みがあります。

恥骨・尾骨・坐骨にかけて骨盤底筋はつながっており、ハンモックのような仕組みで臓器を支えていると理解しておきましょう。

骨盤底筋が臓器を正しい位置に収める役割をすることで、尿道や肛門を締めて排泄をコントロールします。骨盤底筋が緩むと、尿もれや頻尿、残尿感といった症状が表れるのはこのためです。骨盤底筋の働きによって排泄が正常に行われます。人間の身体にとって重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

骨盤底筋が弱ると生じる症状

骨盤底筋が弱ると膀胱が下がってきます。膀胱が下がると骨盤底筋で尿道を締めづらくなるため、尿もれの症状が表れます。

尿もれの症状が表れるのは、出産や加齢、ホルモンバランスの変化によって骨盤底筋がダメージし緩んでくるためです。誰にでも起こる症状だと理解しておき、本人や周りの正しいサポートが欠かせません。

骨盤底筋は骨盤内の臓器を支えています。その骨盤底筋が緩むと、子宮脱のように臓器が膣から出てしまう可能性が高いため、注意が必要です。

【骨盤底筋が弱ると生じる症状】

尿もれ

「ちょい漏れ」など下着に染みる程度から、ズボンが濡れる状態までさまざまです。自身でのコントロールが難しいため、ストレスを抱えやすい症状です。
骨盤底筋をトレーニングし、鍛えると症状が改善する場合があります。

頻尿

頻尿は日中だけでなく、夜間にも起こります。尿がすべて排泄できていない場合や、残尿感が原因です。夜間に頻尿を起こすと睡眠の妨げとなり、日常生活にも支障が出る場合があります。

便失禁

骨盤底筋は肛門周りの筋肉も含みます。骨盤底筋が緩むと排泄のタイミングではないのに便が出てきてしまう便失禁の症状が表れます。
便失禁は下着が汚れるだけでなく、においで周囲に悟られないかと心配し、精神的なストレスを抱える場合もあります。

骨盤臓器脱

骨盤の中に収まっているはずの子宮や膀胱といった臓器が外に出てきてしまう女性特有の症状です。膣口に違和感がある、下腹部に圧迫感があるなどの初期症状で気づく方もいます。

女性の場合は骨盤底筋が男性より弱く、出産や加齢でダメージを受けやすいため骨盤底筋が緩みやすいのが特徴です。
尿もれや臓器脱は日常生活を送る中でストレスの原因になります。骨盤底筋の緩みを感じたら、自宅で取り組めるトレーニングを行って骨盤底筋の緩みを改善しましょう。

骨盤底筋のトレーニング〜基礎編〜

骨盤底筋のトレーニング〜基礎編〜

尿もれや頻尿の症状が表れたら、骨盤底筋をトレーニングして鍛えましょう。骨盤底筋が緩んでしまっても、トレーニングを行って再び引き締めることができます。
骨盤底筋のトレーニングにはさまざまですが、まずは基礎的な方法を3つ紹介します。どれも自宅で取り組める方法なので、家事や仕事の合間に意識的に行いましょう。

ひざパカ運動

  1. 1.床にあおむけになり、膝を立てて足の裏を軽く合わせます
  2. 2.両腕は胸の前でクロスします
  3. 3.お尻とお腹に力をこめながらゆっくりと膝を両側に倒します
  4. 4.膝を倒す際に息を長く吐き出しましょう

手ナプキントレーニング

  1. 1.あぐらをかいて座り、手のひらを股にあてがいます
  2. 2.手のひらが股に吸い付くイメージで力をこめます
  3. 3.10秒キープを3セット行いましょう
  4. 4.慣れてきたら1分キープを目指します

ドローイン

  1. 1.床にあおむけに寝ます
  2. 2.膝を立て、足を肩幅に広げます
  3. 3.おへそに手を当てます
  4. 4.10-15秒を目安に肛門や膣をおへそのほうへ引き上げます
  5. 5.40-45秒を目安に力を抜き、リラックスします
  6. 6.10回ほど繰り返し行いましょう

骨盤底筋のトレーニング〜応用編〜

基礎編のトレーニングに慣れて骨盤底筋を意識できるようになったら、応用編として少し工夫が必要な方法も取り入れてみましょう。

筋肉は継続して鍛えることで強くなり、緩まなくなります。基礎編のトレーニングに慣れたら応用編も行い、筋肉に適度な負荷を与えることが大切です。

立ったままできるトレーニング

  1. 1.足を肩幅に開き、腰の高さくらいのテーブルに手をつきます
  2. 2.テーブルに体重を預けます
  3. 3.そのまま肛門や膣、尿道を締めます
  4. 4.締めたあとは身体をリラックスさせましょう
  5. 5.締めてリラックスするサイクルを、1分間に10回行います

お尻歩き

  1. 1.両ひざを伸ばして、腰を立てて座ります
  2. 2.左右のお尻を動かして前へ進みます
  3. 3.10歩を目安に前進しましょう
  4. 4.5回を目安に繰り返します

椅子を使ったトレーニング

  1. 1.椅子に座り、骨盤をたてます
  2. 2.姿勢を保ち、両腕を広げて後ろに伸ばします
  3. 3.膣を引き上げるイメージで骨盤底筋を引き締めましょう
  4. 4.ゆっくりと3回呼吸します
  5. 5.腕を前に戻しながら骨盤底筋を緩めます

 

 

骨盤底筋を鍛えると緩みが改善され、尿もれや頻尿の症状をやわらげる効果が期待できます。また、症状の再発も防げるため、トレーニングを習慣にして取り組むのが大切です。
道具がなくても取り組めるトレーニングばかりなので、積極的に行って骨盤底筋を鍛えましょう。

まとめ

骨盤底筋の緩みは、尿もれや頻尿だけではなく子宮脱や膀胱瘤といった臓器脱の症状を引き起こします。

さまざまな症状に対処する方法として、骨盤底筋を引き締めるトレーニングを行ったり、リングペッサリーを挿入したりする方法がありますが、フェミクッションも心身ともに負担が少ない方法の1つです。

フェミクッションとは、クッションを膣口に当てがい、下から支えるサポーターです。クッションをホルダーにセットし、下着の上から履くタイプのサポーターで固定します。

サポーターは見た目が下着と変わらないため目立ちづらく、運動もしやすいのが大きな特徴です。手術の必要がない、比較的症状の軽い方や、尿もれや頻尿の症状を気にすることなく活動的に過ごしやすい方にはフェミクッションは適した対処法と言えるでしょう。また、リングペッサリーが落ちてきやすい方や出血の症状が見られた方も取り入れやすい対処法の1つです。

サポーターやクッションは洗って繰り返し使用できるため、経済的で衛生面でも安心です。サポーターとホルダーは手洗いまたは洗濯機で軽く洗い、膣口に当てがうクッションは軽く手洗いしましょう。

リングペッサリーは着脱の際の臭いに慣れない方も多く見受けられます。また、自身で着脱を行うのが難しい場合は通院をしなければなりません。

一方、フェミクッションの着脱は比較的簡単で、慣れればサポーターをつけたままトイレを利用できます。腰回りのベルトを緩めるとサポーターを簡単に着脱できるため、トイレの個室内で排泄とサポーターの着脱が完了します。

尿もれや頻尿の原因が骨盤臓器脱ではないかと考えられる場合は、フェミクッションの使用も検討してみてください。

この記事の監修医師

永尾 光一

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

所属医療機関

この記事の執筆者

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役。日本における女性疾患についての認知や理解度の低さに危機感をおぼえ、医療機器開発に着手。子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱の治療に用いる「フェミクッション」を開発し、三井メディカルジャパンを通じて発売。

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