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「下腹部に違和感がある」「座ったらピンポン玉が当たるような感じがする」といった症状は、骨盤臓器脱のサインかもしれません。

骨盤臓器脱は、脱出している臓器の種類によって子宮脱や膀胱瘤・直腸瘤などの名前で呼ばれ、放置すると日常生活の質を大きく下げてしまいます。症状に気づいた時点で医療機関に相談することが大切です。

本記事では、骨盤臓器脱を種類ごとに解説します。原因や診察方法・治療法も紹介するので、不快な症状を早く緩和するためにぜひお役立てください。

骨盤臓器脱の主な種類は5つ

骨盤臓器脱の主な種類は、以下の5つです。

  • 子宮脱
  • 膀胱瘤・尿道瘤
  • 小腸瘤(腟断端脱)
  • 直腸瘤
  • 腟脱

骨盤臓器脱とは、骨盤底の筋肉や靭帯が弱まり、支えられていた臓器が下がり、腟外に突出してしまう状態を指します。出産や加齢、長時間の立ち仕事などでリスクが高まり、女性なら誰にでも起こりえるものの、恥ずかしさから受診が遅れる方が少なくありません。

骨盤臓器脱の種類によって症状や不快感の表れ方が異なるうえ、放置すると生活の質が大きく低下することもあります。それぞれの特徴を確認し、自分が患う骨盤臓器脱のタイプを把握しましょう。

子宮脱

子宮脱は、子宮が下がって腟口から飛び出す状態で、骨盤臓器脱のなかでも比較的よく見られる種類です。

立ち上がったときに、何かが下りてくる感覚が出やすく、座った姿勢で股にピンポン玉が挟まっているような違和感を覚える方が多くいます。進行により、腟外に出た子宮をはっきりと確認できるようになります。

子宮が下垂すると、周辺にある膀胱や直腸を巻き込み、排尿・排便トラブルも起きがちです。日常生活に支障をきたさないよう、早めに医師へ相談しましょう。

膀胱瘤・尿道瘤

膀胱瘤と尿道瘤は、腟の前壁を支える組織が弱まり、膀胱や尿道が下がって腟のほうへ出てくる状態を指します。骨盤臓器脱のなかでもっとも多く見られるタイプが、膀胱瘤です。

多くの場合は膀胱と尿道が同時に下がり、尿の流れがせき止められるため、排尿に関わる不調が出やすいことが特徴です。初期は尿失禁が中心ですが、進行すると以下の症状が表れます。

  • 排尿困難・尿閉(尿を出したくても出ない・十分に出きらない)
  • 残尿
  • 頻尿
  • 尿路感染症
  • 水腎症・腎不全

排尿困難で腎臓内科を受診すると、利尿剤を処方される場合がありますが、骨盤臓器脱は薬では治りません。あらかじめ石鹸で手をきれいに洗い、2本の指で腟を優しく押し上げることで排尿しやすくなります。

膀胱瘤の症状について詳しく知る

小腸瘤(腟断端脱)

小腸瘤は、「腟断端脱(ちつだんたんだつ)」とも呼ばれる骨盤臓器脱の種類の1つです。子宮体がんや子宮筋腫を治療するために、子宮を摘出した方に多く発生する病気です。子宮摘出後、上側にあった小腸が腟のもっとも奥の部分に巻き込まれ、下がってきます。

小腸瘤の特徴的な症状は、以下のとおりです。

  • 骨盤底の圧迫感・脱出感
  • 疑似便意
  • 下腹部痛

立ったり座ったりといった動作に合わせて臓器が上下に動くため、強い違和感や圧迫感をともないます。進行すると、腰痛を訴える方もいます。

子宮摘出歴のある方は、初期症状を見逃さないように注意が必要です。

直腸瘤

直腸瘤は、骨盤臓器脱の種類の1つで、腟の後壁を押す形で直腸が下がり、腟壁ごと体外へ出てきている状態です。直腸付近の骨盤底筋が弱っている場合に起こりやすくなります。

ほかの骨盤臓器脱と異なり、排便に影響を及ぼしやすく、以下のような症状が見られる点が特徴です。

  • いきんでも便が出にくい
  • 残便感がある
  • 腟を押さえながらでないと排便できない

排便困難によりいきむ行為が習慣化すると、直腸瘤を悪化させかねません。直腸と腟の間にある筋肉は、排便時にいきむといった腸内の圧力を高める動作の影響を受け、弱まりやすいといえます。

直腸瘤を悪化させないためには、便秘の改善が必要です。便が硬くなりすぎないよう水分や食物繊維をしっかりと摂取し、適度な運動を心がけ、骨盤への負担を減らしましょう。

腟脱

腟脱は、骨盤臓器脱の種類のうち、腟自体が下がって裏返しとなった状態を指します。腟が下がる程度には個人差があり、なかには完全に脱出する方も見られます。

腟脱は、膀胱瘤や直腸瘤と同時に起こることが多く、症状は排尿や排便に関わるトラブルを含め、多岐に及びがちです。

初期症状は違和感や軽い膨らみを感じる程度ですが、進行すると腟口の外へ大きく突出し、歩行や座る動作に支障をきたしかねません。腟粘膜が下着に擦れることで炎症や出血が起こりやすく、感染のリスクが高まります。

初期症状のうちに医療機関へ相談し、悪化を防ぎましょう。

骨盤臓器脱の基本を押さえよう

骨盤臓器脱は、種類によって異なる特徴があるものの、共通点も多く見られます。

骨盤臓器脱の基本的な知識を、以下の3つのポイントにわけて解説します。

  • 症状・ステージ
  • 原因
  • 診断方法

「骨盤臓器脱かも」と気づいた場合は、できる限りすみやかに医療機関を受診しましょう。

症状・ステージ

骨盤臓器脱では、種類を問わず、以下の症状をともないます。

  • 何かが下がるような下腹部の違和感
  • 排尿・排便のしづらさ
  • 尿漏れや頻尿といった排尿トラブル
  • 腟粘膜の擦れによる痛みや出血

一般的に脱出の範囲が大きくなるほど、症状も重くなる傾向です。骨盤臓器脱の重症度は、脱出範囲に応じて以下のように分類されます。

ステージⅠ臓器が腟口から1cm以上内側に留まっている
ステージⅡ臓器が腟口から1cm内側~1cm外側までにある
ステージⅢ臓器が1cm以上腟口から出ている
ステージⅣ臓器が完全に脱出している

下着との摩擦が気になる場合は、病院で処方された軟膏や、ワセリン・ベビーオイル・ゼリーで脱出部位を保護する方法で、症状の緩和が期待できます。ただし、根本的な対処法ではないため、臓器を体内に収められるよう、手術や保存的治療法の実施を検討しましょう。

原因

骨盤臓器脱の主な原因は、骨盤底筋の支持力が弱まることです。骨盤底筋への負担が積み重なると、骨盤内の臓器を支えきれずに腟壁が外側に押し出され、違和感や痛み・出血が生じます。

骨盤底筋が衰える代表的な要因は、以下のとおりです。

  • 複数回の妊娠・出産
  • 加齢
  • 肥満
  • 慢性的な咳や便秘
  • 重い物を持つ習慣
  • 長時間の立ち仕事

特に閉経後は女性ホルモンの減少により骨盤底筋や靭帯が弱くなり、骨盤臓器脱が進行しやすくなります。骨盤底筋を鍛えるサポート器具を活用し、骨盤臓器脱の予防に努めましょう。

診断方法

骨盤臓器脱の診察は、問診・触診と器具を用いた内診によって行われます。

患者さんが感じている症状を問診で確認し、脱出している臓器や病気の進行度を判断します。触診と内診では、腟や直腸に指を入れることで、臓器の下がり具合や突出の有無を確認可能です。患者さんに腹圧をかけてもらい、骨盤臓器脱の様子を診るケースもあります。

より詳しく状態を判断するために行われる検査は、以下のとおりです。

検査確認できること
チェーン膀胱造影・膀胱瘤・尿道瘤の状態
・尿の流れ
残尿測定排尿後に膀胱に残った尿の量
超音波(エコー)検査臓器の位置や腟壁の変形の程度
血液・尿検査・炎症や感染症の有無
・骨盤臓器脱以外の病気ではないか
CT・MRI検査臓器の詳細な位置

検査は必要に応じて行われますが、強い痛みはほとんどありません。医師から精密検査を勧められた場合は、積極的に受けることをおすすめします。

骨盤臓器脱は何科を受診すれば良い?

受診先に迷うときは、婦人科に相談し、必要に応じて専門外来を紹介してもらうと良いでしょう。

排尿困難をともなう場合は泌尿器科への相談も可能です。しかし、骨盤臓器脱はさまざまな症状が混在していることが多く、複数の診療科の見解が必要なケースもあります。

1つの病院で専門的な診療・治療を受けたいなら、女性特有の排尿・排便トラブルや骨盤臓器脱を専門的に診る「ウロギネコロジー(ウロギネ外来)」がおすすめです。総合的な診察と治療を受けられる診療科であれば、複数の病院で受診する必要がありません。

当社でもウロギネ外来のご紹介が可能です

骨盤臓器脱の治療法

骨盤臓器脱の治療法は、以下のとおりです。

根治を目指す治療法手術
保存的治療法・骨盤底筋体操
・リングペッサリーの使用
・フェミクッションの着用

根本的な治療を目指すなら手術が必要ですが、年齢や体力の関係で難しい方もいるでしょう。手術以外でも、不快な症状の緩和が見込める方法はあるため、生活の質を守れるよう、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。

手術

骨盤臓器脱を根治する手術には、以下の術式があります。

術式特徴デメリット
経腟メッシュ手術
(TVM手術)
・腟からメッシュを挿入して膀胱や腟壁を支える
・再発率が低い
・比較的短時間で実施できる
・メッシュが腟内に露出することがある
・感染のリスクがある
・再発のリスク
腹腔鏡下仙骨腟固定術
(LSC)
・腟壁と仙骨にメッシュを固定して腟を引き上げる
・性機能を維持できる
・支持力が安定する
・手術時間が長い
・腹部を切開する
ロボット支援下仙骨腟固定術(RSC)・ロボットを用いてLSCを行う
・出血量を抑えられる
・高度な設備が必要になる
・費用が高額になりやすい
腟閉鎖術・腟を縫い合わせて臓器の下垂を防ぐ
・手術時間が短い
・体への負担が少ない
・術後は性交渉ができない
・再発の可能性が比較的高い

適用される術式は、症状の重さや患者さんの年齢・体力などから総合的に医師が判断します。ただし、合併症や持病を持っていたり、妊娠を希望していたりする方の場合は、手術ができないこともあるでしょう。

手術が困難なケースでは、症状を緩和する保存的治療法を行います。

骨盤底筋体操

骨盤臓器脱の保存的治療法のなかで取り組みやすい方法は、骨盤底筋体操です。

出産や加齢、長時間の立ち仕事などによって弱くなった骨盤底筋を鍛え、臓器の下垂を防ぎます。特別な器具を必要とせず、自宅で日常的に行いやすい方法です。

骨盤底筋体操は、継続的に行うことで効果を実感できる治療法です。以下を1セットとして、1回あたり5セット、1日に3回ほど行なってください。

  1. 腟や肛門まわりの筋肉をギュッと締める(約5秒間)
  2. 筋肉をゆっくり緩めて休ませる(約5秒間)
  3. 1・2を10回繰り返す

ただし、臓器が腟から脱出している状態での骨盤底筋体操はできません。医療機器を活用し、臓器を腟に戻した状態で行いましょう。

リングペッサリーの使用

リングペッサリーの使用とは、腟内に輪状の器具を挿入し、下がってきた臓器を支える骨盤臓器脱の保存的治療法の1つです。高齢で体力的に手術ができない方に、多く選択されています。

リングペッサリーには、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット・装着直後から下垂感が軽減される
・手術せずに症状を和らげられる
・高齢者や体力が低下した方でも使える
・種類・サイズの選択肢が多い
・自身で脱着・管理できるタイプもある
デメリット・炎症や感染などのトラブルが起こりやすい
・定期的な受診やペッサリーの交換が欠かせない
・排尿・排便トラブルが起こる可能性がある
・咳やくしゃみなどで外れることがある
・自己着脱が難しい

手術が難しい方の症状改善には有効な方法であるものの、長期間の使用は合併症のリスクを高めるため注意が必要です。

フェミクッションの着用

骨盤臓器脱の保存的治療法の1つが、医療機器「フェミクッション」の着用です。腟口にシリコン製のクッションを当てて臓器を下から支える仕組みで、突出感や圧迫感を軽減します。

フェミクッションのメリットは、以下のとおりです。

  • 患者さん自身で着脱できる
  • 下着のようなデザインで目立ちにくい
  • 着用後すぐに不快な症状が緩和する
  • 洗濯して清潔を保てる
  • 外出先や仕事中でも手軽に使用できる
  • ECサイトから購入できる
  • 睡眠時は外せる

病院での処置や通院が不要なため、デリケートな部位の悩みを周囲に知られずケアしたい方にも向いています。

フェミクッションの効果は臨床研究で証明済みであり、国内の医療機関だけでなく世界の40か国で使用されています。日常生活の質を保ちたい方は、ぜひ使用を検討しましょう。

フェミクッションについてもっと知りたい

骨盤臓器脱治療にはフェミクッションがおすすめ

骨盤臓器脱でお悩みの方には、体を傷つけずに手軽に症状を緩和できるフェミクッションがおすすめです。

フェミクッションは手術のように体を傷つけたり、入院したりする必要がありません。腟内に挿入しなくて良く合併症の心配が少ないため、手術なしで治療したい方にぴったりです。装着してすぐに効果を実感でき、着けたままでも動きやすい点も魅力です。

「手術やペッサリーに抵抗がある」「今すぐ症状を改善したい」という方は、ぜひフェミクッションをご活用ください。

フェミクッションの購入を検討する

この記事の監修医師

永尾 光一

永尾 光一 先生

一般社団法人日本精索静脈瘤協会 理事長
医療法人社団マイクロ会 理事長
銀座リプロ外科 院長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

この記事の執筆者

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役。日本における女性疾患についての認知や理解度の低さに危機感をおぼえ、医療機器開発に着手。子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱の治療に用いる「フェミクッション」を開発し、三井メディカルジャパンを通じて発売。

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