COLUMN

更年期世代の性交痛について:原因や対処法

性交痛とは

性交痛とは、性交時に痛みがある!痛くて挿入できない!などセックスの時に生じる痛みのことです。
女性の体は閉経とともにホルモンバランスが崩れ、様々な不調を感じるようになります。肌も乾燥しがちになり、同様に膣も潤い不足になります。性交時には、濡れにくくなることから、性交に支障を来すようになります。

更年期世代における性交痛の種類

性交痛の原因は様々ですが、更年期世代では女性ホルモンであるエストロゲンの低下や精神的な要因、また骨盤臓器脱による性交痛などが挙げられます。

女性ホルモン低下による性交痛

女性は更年期を迎えると、女性ホルモンの低下が起こります。膣への血流が悪くなり、膣粘膜は萎縮します。潤いも不足し乾燥するため、性交時の摩擦で痛みを感じるようになります。
また、女性ホルモンは卵巣で作られるため、子宮がんや卵巣癌などで卵巣摘出を行うことにより、女性ホルモンが不足し更年期の症状を訴えるようになります。
その他、女性ホルモンの分泌を抑制する治療である、抗ホルモン療法(内分泌療法)や、卵巣への放射線治療でも、女性ホルモン低下による性機能障害がおき、性交痛は最も訴えが多いものの一つです。

精神的な要因による性交痛

更年期女性では、心のバランスを崩しイライラしたり、気持ちも落ち込んだり、セックスにも積極的になれなくなることもあります。無理に性交しようとして性交痛を経験すると、「また濡れなかったらどうしよう?」という不安から濡れにくくなり、性交自体が億劫になったりもします。
また、若いころに経験した怖い体験が心に残っていて、そのトラウマが更年期になり性交痛を引き起こすという報告もあります。

骨盤臓器脱による性交痛

骨盤臓器脱は、膣から周辺臓器が下がる病気で、更年期を過ぎると女性ホルモン(エストロゲン)の低下により骨盤底筋の支持組織が弱くなることから起こりやすくなります。
骨盤臓器脱になると、膣から周辺臓器が出てくるため、性交渉においても挿入が困難となります。膣に潤いもなくなりますので、無理に挿入しようとすると、摩擦が生じ炎症、細菌感染を起こしやすくなります。

更年期の女性の腟分泌液が出ない(濡れない)理由

エストロゲンの減少

更年期には、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンは膣内の粘膜を保護し、腟分泌液を生成する役割があります。そのため、エストロゲンの減少によって腟分泌液の量が減少し、潤いが不足することがあります。

腟のpHの変化

エストロゲンの減少により、腟内のpHがアルカリ性に傾きやすくなります。この状態では、健康な乳酸菌のバランスが崩れ、腟の粘膜が乾燥しやすくなるため、腟分泌液の量が減少する可能性があります。

精神的な要因

更年期におけるストレスや精神的な負担も、腟分泌液の量や質に影響を与えることがあります。ストレスや不安が増加すると、交感神経が優位になり、腟の分泌が抑制されることがあります。

薬の影響

更年期の女性は、ホルモン補充療法や他の薬物を服用している場合があります。これらの薬物が腟の粘膜に影響を与え、腟分泌液の量や質に変化をもたらすことがあります。

治療法

原因がホルモン低下である場合

女性ホルモンが低下している場合には、ホルモン補充療法(HRT)が行なわれます。これは、不足しているエストロゲンを補う方法で、子宮がない場合はエストロゲンだけの補充となりますが、子宮がある場合は子宮体がんを予防するため、黄体ホルモンと一緒に補充する必要があります。
いずれも飲み薬、貼り薬、塗り薬、膣剤があります。

原因が精神的な要因である場合

性交痛の原因が精神的な要因である場合は、薬物療法ではなく、専門医やカウンセラーによる心理療法が有効な場合があります。カウンセリングでは、夫婦の関係や家庭環境、その他のご家族との関係などその人を取り巻く環境をヒヤリングしながら、原因を探ります。そして、気持ちをリラックスさせ、恐怖心が少なくなるように持っていってくれます。

原因が骨盤臓器脱である場合

骨盤臓器脱がある場合は、しっかり治療する必要があります。治療方法は、外科的治療または保存的治療があります。
保存的治療には、リングペッサリーの装着やフェミクッション装着などがあります。
リングペッサリーは膣内に留置するため、性交渉に難が生じます。無理にしようとすると男性側が異物に触れてしまい、本来の目的を果たせないことも少なくありません。リングペッサリーを選択する場合は、自己脱着ができるようにしておくことがお薦めです。
一方、フェミクッションは、日頃より使用することにより、脱着時でも直ぐに臓器は脱出してこないため、性交を妨げることなく、また、男性にも骨盤臓器脱であるということを知られなくてすむというのも特徴の1つです。

この記事の監修医師

永尾 光一

永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

所属医療機関

この記事の執筆者

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役。日本における女性疾患についての認知や理解度の低さに危機感をおぼえ、医療機器開発に着手。子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱の治療に用いる「フェミクッション」を開発し、三井メディカルジャパンを通じて発売。

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