
このページの監修医師
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「下腹部に違和感がある」「膣からピンポン玉のようなものが出てくる」といった症状を感じながらも、「もう歳だから」と治療をせず放置していませんか。
高齢者の子宮脱や骨盤臓器脱は、放っておくと歩行困難や排泄障害といったつらい症状につながる恐れがあります。
本記事では、子宮脱・骨盤臓器脱を放置するリスクや、さまざまな治療法をわかりやすく解説します。
頻繁な通院が難しい・手術には不安があるといった方へ向けて、自宅でできる治療法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。適切な対処によって、自分らしい生活を取り戻しましょう。
目次
高齢者にとって、子宮脱や骨盤臓器脱の放置が危険とされる理由は、以下のとおりです。
1.歩行困難・出血につながる
2.排泄に支障が生じかねない
3.症状が進行する
骨盤臓器脱は「膣のヘルニア」とも呼ばれ、骨盤内の臓器が膣から外に出てきてしまう病気です。症状が重くなる前に、できる治療から始めましょう。
高齢者が子宮脱や骨盤臓器脱を放置すると、歩行困難や出血につながる恐れがあるため危険です。
膣から下垂した骨盤臓器が下着に擦れ、痛みで歩きにくいだけでなく、皮膚や粘膜が傷つくことによる慢性的な出血や炎症を引き起こします。陰部に異物が挟まっているといった違和感も、歩行を避ける原因となるでしょう。
高齢者が活動しなくなると、筋力が衰え、転倒リスクの上昇につながります。転倒による骨折は、寝たきり状態を引き起こしやすく、さらに肺炎や認知機能の低下といった命にかかわる重大な健康問題を引き起こす可能性もあります。
歩行しにくくなる子宮脱・骨盤臓器脱を早めに治療することは、健康寿命を延ばすうえでも非常に重要です。
排泄に支障をきたす可能性があるため、高齢者の方は子宮脱や骨盤臓器脱を放置しないでください。骨盤臓器が下がることで膀胱や直腸が圧迫され、排尿後も尿が残っているような感覚が続き、すっきりしない状態が慢性的になります。
排泄のトラブルは、精神的なストレスを招くだけでなく、外出をためらう原因にもなり、日常生活の質を大きく低下させてしまうでしょう。
残尿による膀胱炎や、慢性的な便秘が引き起こす痔・肛門痛など、二次的な病気のリスクも高めてしまいます。
高齢者が子宮脱といった骨盤臓器脱を放置すると、以下のような段階で悪化していきます。
軽度 |
・何かが下がっている感じがする ・ピンポン玉が触れているような違和感を覚える ・朝方よりも夕方に症状が強い |
---|---|
中度 |
・常時股間に異物が挟まっている感じがする ・尿や便が出にくくなる |
重度 |
・歩行困難になる ・下着に擦れて出血する |
骨盤臓器を支える筋肉や靱帯は、年齢とともに衰えていくものです。衰えた筋肉では、臓器の重さを支えられなくなり、症状が進行してしまうでしょう。子宮脱・骨盤臓器脱は、歳を重ねた方ほど早期に対処したい病気です。
以下のような症状が見られた場合は、子宮脱や骨盤臓器脱を疑って、一度受診することを推奨します。
・座ったときにボールの上に座っているような感覚がある
・股の間に何かが挟まっている感じがする
・下腹部が引っ張られる感じがする
・トイレが近い
・尿もれ
・尿が出にくい
・残尿感・残便感がある
・便秘が続いている
高齢者に多い骨盤臓器脱は、自然に完治することはありません。重症化を防ぐためにも、症状が軽いうちに対処することが求められます。
子宮脱・骨盤臓器脱の手術方法は、以下の4つです。
・腟式子宮全摘術+腟断端固定+腟壁形成術
・腟閉鎖術
・経腟メッシュ手術(TVM)
・腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)
骨盤臓器脱の手術には年齢制限はなく、高齢者でも受けられます。一方、糖尿病や心疾患といった基礎疾患がある方はリスクが高く、手術が勧められない場合もあります。
子宮脱・骨盤臓器脱の手術方法を詳しく調べる
子宮脱に有効な手術として、「腟式子宮全摘術」「腟断端固定」「腟壁形成術」の3つを組み合わせる方法があり、高齢者も施術可能です。
以下の手順で、骨盤臓器脱の手術が行われます。
1.膣から子宮を摘出
2.膣の断端を骨盤の靭帯に縫い付けて固定
3.たるんだ腟壁を成形
術後6週間は、重い物を持つことや、長時間の屈むような姿勢は避ける必要があります。
骨盤臓器脱の根本的な治療法として歴史のある術式で、再発率が15~30%と比較的低い点が特徴です。
腟閉鎖術は子宮脱や骨盤臓器脱の治療法の1つで、腹部を切開しない術式のため、大きな手術に不安がある高齢者でも比較的受けやすい方法です。
腟閉鎖術には、以下の2種類があります。
中央腟閉鎖術 |
・子宮を摘出せずに腟を縫合して閉鎖する ・術後は子宮がん検診は受けられない |
---|---|
全腟閉鎖術 |
・子宮を摘出して、膣を閉じる ・中央腟閉鎖術よりも再発率が低い |
手術後は、膣が縫合されてしまうので、挿入をともなう性交渉はできません。合併症として、腹圧性尿失禁や、縫合部分の出血・感染が報告されています。
高齢者が子宮脱・骨盤臓器脱の治療を受ける場合、経腟メッシュ手術(TVM)も検討されます。膣からメッシュという網目状の人工素材を挿入し、臓器を支える構造を再建する術式で、骨盤臓器脱の範囲が広範囲に及ぶ場合に有効です。
術後の支持力が強く、再発リスクの低減にもつながります。さらに、複数の臓器が脱出している場合でも一度に治療できることも大きなメリットです。
一方、膣からのメッシュ露出や尿路感染など、ほかの術式と比べて合併症のリスクがやや高い傾向があります。
腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)も、高齢者が受けられる子宮脱・骨盤臓器脱の外科的治療法の1つです。腹腔鏡を使って、お腹からメッシュを入れ、仙骨に固定して吊り上げます。
近年ではロボットを用いた「ロボット支援下仙骨腟固定術(RSC)」も開発され、より傷を小さくした手術も可能となりました。
LSCではメッシュを固定するために、子宮体部を摘出するケースが多く、長時間の手術が必要です。再発率が低く、回復が比較的早いメリットがある一方、手術に耐えられる体力や、腸閉塞や臓器損傷などの合併症のリスクに注意が必要です。
手術以外の子宮脱・骨盤臓器脱の治療方法は、以下のとおりです。
・生活習慣の見直し
・骨盤底筋訓練
・ペッサリーの活用
・フェミクッションの活用
高齢者や手術に不安がある方は、まずは保存的治療を試してみて症状の進行を防ぎつつ、日常生活を快適に過ごせる工夫を行いましょう。
高齢者にとって、生活習慣の見直しは子宮脱を含む骨盤臓器脱の改善に効果的です。臓器を支える骨盤底の筋肉は、重力の影響を受け、常に負担がかかっています。以下のように子宮脱を起こしやすい生活習慣を改善することで、症状の悪化が防げます。
・肥満を防ぐ
・便秘を改善する
・重い荷物を持たない
・長時間の立ち仕事を控える
・喘息や花粉症を治療する(咳やくしゃみによる腹圧を予防)
肥満気味の方がダイエットのために運動を取り入れる際は、水中ウォーキングのようなお腹に力がかかりにくいスポーツがおすすめです。食事の見直しも並行して行いながら、適正体重を目指しましょう。
高齢者が取り入れやすい骨盤底筋訓練も、子宮脱や骨盤臓器脱の保存的治療法の1つです。骨盤底筋を鍛えるトレーニングで、運動を発見した博士の名前に由来してケーゲル体操とも呼ばれています。
骨盤底筋のゆるみによる臓器脱の予防や進行を遅らせられ、軽度の腹圧性尿失禁の症状改善も期待できます。
骨盤底筋訓練のやり方を画像を見ながら確認する
症状が軽いうちから始めると、進行の予防にも効果的です。就寝前や、テレビを見ている間など、無理なく取り入れられるタイミングを見つけましょう。
ただし骨盤臓器脱が中度以上に進行している場合、体操をして筋肉を鍛えるだけの症状改善は、難しいこともあります。やり方を間違うと症状が悪化するケースもあるので、専門家からきちんと指導を受けて行なってください。
高齢者のペッサリー装着は、子宮脱や骨盤臓器脱の保存的治療の1つです。膣内にペッサリーという医療器具を入れて膣壁を支えることで、骨盤内臓器の脱出を防ぎます。
タイプ別のペッサリーの特徴は、以下のとおりです。
医療機関で装着するタイプ |
・60~90日ごとに通院しなくてはいけない ・常時着用による炎症やおりもの増加などの症状が出やすい |
---|---|
自身で着脱できるタイプ |
・症状が出やすい時間のみ着用できる ・通院回数が少なくてすむ |
リング型やドーナツ型などさまざまな形状があり、医師の処方・指導のもとで使用します。装着時は多少の違和感をともなうものの、慣れると生活中の不快感が大幅に軽減されるでしょう。
ペッサリーは定期的な交換が必要です。出血やおりもの過多、嫌な匂いなど気になることがあった際は、すぐに医療機関を受診してください。
ペッサリーの選び方やメリット・デメリットについて確認する
子宮脱や膀胱瘤など、すべての骨盤臓器脱に対応できる医療機器がフェミクッションです。
脱出した臓器が膣内に戻っている状態で膣口をクッションで押さえ、ホルダーとサポーターで押し上げて支える仕組みで、高齢者や持病があって手術が難しい方にもお使いいただけます。
フェミクッションのメリットは、以下のとおりです。
・手術が受けられない方も使用できる
・定期的に通院しなくても治療できる
・自宅で洗えるので清潔に保てる
・ペッサリーよりも簡単に自身で装着できる
・下着のようなデザインで周囲の人から気づかれにくい
・インターネットで購入できる
臨床試験では、装着した方の骨盤MRI画像で、脱出していた膀胱・子宮・直腸の位置が改善されていることが確認できました。継続的に使用することで骨盤底筋が鍛えられ、症状が軽くなることが見込めます。
フェミクッションについて詳しく知りたい
高齢者に多い子宮脱や骨盤臓器脱には、フェミクッションでの対処がおすすめです。
年齢を重ねた女性にとって、子宮脱・骨盤臓器脱の症状は、他人に相談しづらいデリケートな悩みです。受診や治療をしないまま放置すると、症状は悪化し、日常生活の質も下がる恐れがあります。
フェミクッションは、脱出した臓器をやさしく押し戻し、痛みや違和感・排泄トラブルの症状緩和をサポートします。見た目も下着のように自然なため、人目を気にせず外出や旅行も楽しめるでしょう。
「年齢のせいだから仕方ない」と我慢する前に、日常の中で無理なくできるケアから始めてみませんか。通院が難しかったり手術に抵抗があったりする方は、ぜひ一度フェミクッションをお試しください。
フェミクッションを購入する
永尾 光一 先生
東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)
東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター
東邦大学医療センター大森病院 尿路再建(泌尿器科・形成外科)センター長
昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。
所属医療機関
株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役
三井 桂子
株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役。日本における女性疾患についての認知や理解度の低さに危機感をおぼえ、医療機器開発に着手。子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱の治療に用いる「フェミクッション」を開発し、三井メディカルジャパンを通じて発売。
スターターキット ライトネット購入限定
まずは試してみたい
という⽅に!
セット内容
・サポーター1枚(ミディベージュサポーター)
・クッション 3個(S・M・L各サイズ1個)
・布製ホルダー(フリーサイズ3枚)
・洗浄栓
※スターターキット ライトをご選択の方はミディベージュサポーターのみとなります。
スターターキット
普段の⽣活でしっかり
使いたい⽅に!
セット内容
・サポーター1枚(次の項目で種類・サイズを選択ください)
・クッション 6個(S・M・L各サイズ2個)
・布製ホルダー(フリーサイズ3枚)
・洗浄栓
※コットンの特注サイズは現在在庫切れです。