COLUMN

子宮脱は何科を受診すべき?症状のチェック法・自分で治す方法とは

「子宮脱のような症状があるけれど、何科を受診すれば良いかわからない」とお困りではありませんか。

近年、女性特有の悩みである子宮脱のような骨盤臓器脱を治療できる診療科が増えてきています。しかし、骨盤臓器脱は認知度がいまだ低く、症状や治療法を含めて詳しく知らない方が多い病気です。

本記事では、子宮脱の診察・治療をしてくれる診療科と、受診の目安となる症状を紹介します。どの診療科を選べば良いか迷った場合の参考にしてください。

子宮脱が進行する前に専門的な診察を受けて症状の悪化を防ぎ、快適な生活を取り戻しましょう。

 

 

子宮脱の症状がある際は何科を受診すべき?

子宮脱の症状がある場合の受診先の選択肢は、以下のとおりです。

・産婦人科
・女性泌尿器科・泌尿器科
・ウロギネ外来
・骨盤臓器脱専門外来

閉経後の女性の約4割が発症するといわれているにもかかわらず、日本では子宮脱を含む骨盤臓器脱の認知度が低いことが現状です。

子宮脱は、症状が出現したあとすぐに適切な治療を受ければ、進行を抑えられます。症状が進行してしまうと、より重度の問題や合併症が起きる可能性があるため、早めに受診しましょう。

 

産婦人科

子宮脱が疑われる際の基本的な受診先は、産婦人科です。「産科」は妊娠・出産に関する医療を提供する診療科で、「婦人科」は女性の生殖器全般や女性ホルモンに関する診察をしています。産科と婦人科の両方の診察ができる診療科を「産婦人科」と呼びます。

子宮脱の症状で受診するなら、婦人科か産婦人科を選びましょう。産婦人科医は生殖器や子宮脱に関する専門知識と治療経験を有しており、より適切なケアについてのアドバイスや治療が受けられます。

子宮脱は、出産歴のある方の発症リスクが高く、閉経をきっかけに症状が現れることもあるので、更年期や妊娠・出産に詳しい産婦人科は適した相談先です。

加齢・閉経によるエストロゲンの減少も子宮脱を引き起こすといわれており、女性ホルモンの異常もあわせて相談できることも大きなメリットです。

 

女性泌尿器科・泌尿器科

女性泌尿器科や泌尿器科でも、子宮脱の診察を行なっている病院が一部あります。

女性泌尿器科とは、女性に特に多い頻尿・尿漏れ・膀胱炎・骨盤臓器脱のような症状を専門に診療している泌尿器科のことです。泌尿器科は、子宮脱が疑われる人のなかでも、尿漏れ・残尿感・排尿困難といった排尿トラブルをともなっている方におすすめです。

子宮だけでなく膀胱や直腸も腟から脱出し、複数の骨盤内臓器が出てくるケースもあります。女性泌尿器科なら、膀胱・尿道・直腸の脱出も診療可能です。

ただし、すべての泌尿器科が子宮脱に精通しているわけではないため、インターネットで調べ、骨盤臓器脱の治療を行なっているか確認してから受診しましょう。

 

ウロギネ外来

子宮脱の相談先には、ウロギネ外来も挙げられます。

ウロギネとは泌尿器科を表すウロ(Urology)と、婦人科のことであるギネ(Gynecology)を合わせた造語ウロギネコロジー(Urogynecology)の略です。泌尿器科と婦人科の中間領域を扱う専門的な診療科が、ウロギネ外来です。

子宮脱では、膀胱や尿道が圧迫されることによる排尿トラブルが高頻度で起こります。婦人科・泌尿器科両方の視点から診てもらえる点は大きなメリットです。

ウロギネ外来は日本ではまだ限られた病院にしかないものの、子宮脱や膀胱瘤などの骨盤臓器脱の専門的な治療が受けられます。

 

骨盤臓器脱専門外来

骨盤臓器脱専門外来も、子宮脱を診察してくれる場所の1つです。骨盤臓器脱とは、内臓の位置が下がり、腟から飛び出す病気です。子宮が出てきた場合は子宮脱、膀胱なら膀胱瘤、直腸が脱出したら直腸瘤と呼ばれます。

骨盤臓器脱専門外来は、総合病院に設置されていることが多く、院内の婦人科・泌尿器科・消化器外科といった医師の診察が受けられます。

婦人科と泌尿器科の医師が合同で手術を担当する病院もあり、高度な診断や治療を求めている場合に適する診療科です。

 

受診の目安となる子宮脱の症状

下記のような症状を感じた場合は子宮脱の可能性があるため、早いタイミングでの受診を検討してください。

・太ももの間に物が挟まったような感覚がある
・外陰部にピンポン玉のような物が触れる
・ボールの上に座っているような感覚がある
・座ると異物が腟の中に入り、立つと落ちてくるような違和感がある
・腰まわりが下に引っ張られるような感じ・圧迫感がある
・頻尿や尿漏れ・尿が出にくいなどの排尿障害がある
・便秘・排便困難感が続いている
・性交痛・性交障害がある
・脱出した子宮が下着に擦れて歩きにくい
・腟からの出血・分泌物の増加が気になる

子宮脱の特徴は、朝よりも日中の活動の影響を受けた夕方に症状が強くなりやすい点です。子宮や腟の一部が外陰部から明らかに突出している方は、痛みや出血・炎症を起こしやすいので、すみやかな受診を強くおすすめします。

子宮脱の症状か判断できない場合は、まず産婦人科を受診し、必要に応じて泌尿器科や別の診療科を紹介してもらうと良いでしょう。

子宮脱のセルフチェックをしてみる

 

そもそも子宮脱とは

子宮脱とは、子宮が骨盤内の本来の位置から下がり、腟の中に落ち込んだり、外に出てしまったりする状態です。

本来、子宮は骨盤の中で骨盤底筋という筋肉や靭帯によって支えられ、位置を保っています。しかし、骨盤底筋の組織が緩んだり損傷したりすると、子宮が重力に逆らえなくなり、腟から出てきてしまいます。

子宮脱が起こりやすい人の特徴や、進行した場合の症状を確認しましょう。

 

子宮脱が起こりやすい人の特徴

子宮脱が起こりやすい人の特徴と理由は、以下のとおりです。

特徴 理由・補足
経腟分娩の経験がある ・出産時に骨盤底に強い負担がかかる
・複数回の出産歴・難産・吸引分娩の経験があるとさらにリスクが高まる
閉経を迎えた ・女性ホルモン(エストロゲン)の減少により筋肉が弱くなり粘膜が弱くなる
・加齢により筋力が低下する
肥満である ・脂肪や自分の体重が骨盤底に継続的に圧力をかける
腹圧のかかる習慣がある ・便秘がちである
・慢性的に咳をしている(喫煙者・喘息持ち)
・重い荷物を頻繁に持つ
骨盤内の手術の経験がある ・子宮や靭帯を切除していると支えが弱くなる
家族に子宮脱の人がいる ・遺伝的に骨盤内の結合組織が弱い可能性がある

 

出産の経験がある方は子宮脱のリスクが高まります。ただし、分娩直後の発症率は高くなく、症状が出現するタイミングの多くは閉経する50歳以降です。

 

子宮脱の重症度分類

子宮脱を含む骨盤臓器脱の重症度は、POP-Q(Pelvic Organ Prolapse Quantification)法という世界的に使われている基準で、以下のとおり診断されます。

ステージ 子宮の状態
Stage 0 子宮は正常な位置にある(脱出なし)
Stage I 脱出はあるが腟の入り口から1cm以上奥にとどまっている
Stage II 脱出部分が腟の入り口の1cm上〜1cm下の範囲にある
Stage III 子宮が腟口から1cm以上外に出ている
Stage IV 完全に外に出ている(完全脱)

 

目で見て脱出がわかり、はっきりと自分で子宮脱が確認できる段階はStage II以降です。脱出した臓器が下着で擦れ、痛みや出血が起こることもあります。

デリケートな部位の悩みで、受診をためらう方もいるでしょう。しかし、子宮脱を放置するメリットは1つもないので、すみやかに受診し、自分の体の状態を検査・診断してもらうことが大切です。

子宮脱以外の骨盤臓器脱の症状を見てみる

 

子宮脱|受診後に行われる検査

子宮脱で病院を受診したら、以下のような検査が行われます。

・問診
・内診
・超音波(エコー)検査
・尿検査・尿流量測定・残尿測定
・画像検査
・がんの検査

問診では、いつから・どのような症状があるかに加え、妊娠・出産歴や、今までにかかった病気などを詳しく伝えましょう。

内診は、診察台で腟鏡(スペキュラム)を腟内に挿入し、患者さんに腹圧をかけてもらい、脱出している臓器の種類や、下がり具合といった重症度を確認します。膀胱や尿道の緩みも同時にチェックします。

超音波検査は、腹部や腟内にプローブを当て、子宮や卵巣・膀胱など、骨盤内臓器の状態や異常の有無を確認する検査です。

子宮脱では、尿路や膀胱が圧迫されて排尿障害が起こることがあるので、尿に関する検査も行われます。必要に応じてMRIや膀胱造影などで臓器の下垂の程度や位置をさらに詳しく調べます。

「腟の中に何かあるような感覚」の原因として、がんを除外するための検査も重要です。

一連の検査によって診断名と重症度がわかったのちに、治療方針の提案を受けましょう。

 

子宮脱の患者さんに対して病院でできること

病院で子宮脱だと診断されたあと、一般的に提案される治療方針は、以下のとおりです。

・手術
・ペッサリーの使用
・骨盤底筋体操・生活習慣改善のアドバイス
・フェミクッション着用の推奨

どの方法が適しているかは個人の年齢や症状によって異なります。複数の方法を組み合わせることで高い治療効果を得られる場合もあるため、それぞれ詳しく確認し、理解を深めてください。

 

手術

子宮脱が重症だと判断された場合は、以下のような手術が勧められることがあります。

方法 概要
子宮摘出術+腟縫縮術 子宮を摘出して緩んだ腟壁を縫い縮める
経腟メッシュ手術
(TVM)
腟から腟壁と膀胱・直腸の間に人工メッシュを挿入する
腟閉鎖術 臓器が脱出しないように腟を縫い合わせる
腹腔鏡下仙骨腟固定術
(LSC)
腹腔鏡を使い、メッシュで腟壁や子宮を仙骨に固定する
ロボット支援下仙骨腟固定術
(RSC)
LSCをロボットを使って行う

 

再発のしにくさはもちろん、年齢や身体的な負担、治療後に妊娠・出産や性生活を望むかといった点も手術法を選ぶ際のポイントです。

骨盤臓器脱の手術を確認する

 

ペッサリーの使用

ペッサリーの使用も、子宮脱に対して病院でできる治療法の1つです。

ペッサリーとはリング状やドーナツ型などの器具で、腟内に挿入して下がってきた子宮を下から支えることで、脱出や不快な症状を軽減します。主にシリコンや塩化ビニール製で、やわらかく体への負担が少ない製品が多く使用されています。

病院で挿入・交換する場合は2~3ヵ月に1回の通院が必要です。毎日自分で着脱・洗浄する自己着脱式のペッサリーなら、通院回数を少なく抑えられるでしょう。

ペッサリーの使用は手術までの一次的な対策としても有効ですが、あくまで対症療法として子宮の脱出を抑える方法で、根本的な治療法ではありません。サイズや形が合わない場合の違和感・脱落や、感染・おりものの増加・出血のリスクといったデメリットも存在します。

 

骨盤底筋体操・生活習慣改善のアドバイス

子宮脱と診断された際は、ぜひ専門家から骨盤底筋体操の指導や生活習慣改善のアドバイスを受けましょう。

子宮脱の原因の1つは、骨盤底筋群の緩みです。骨盤底筋は、子宮・膀胱・直腸などの骨盤内臓器を下から支える重要な筋肉群であり、トレーニングすることで子宮脱の症状改善が見込めます。

骨盤底筋は一度のトレーニングで鍛えられるわけではなく、継続した取り組みが必要なので、習慣にして根気良く続けることが大切です。効果的な方法で行えるように、正しい体の使い方や体操方法を指導してもらいましょう。

子宮脱の進行や再発リスクを抑えるために、腹圧をかける習慣を避ける、生活改善のアドバイスも重要です。

・咳や喘息のコントロール
・便秘予防
・重い物を持つことを避ける生活
・体重管理の方法

慢性的に咳が続いている方は、投薬で改善を図ることもあります。便秘改善に食物繊維や水分を意識的に摂取したり、肥満予防に運動をしたりして、子宮脱改善のために自分でできることは取り入れましょう。

 

フェミクッション着用の推奨

多くの医療機関では、子宮脱に対してフェミクッション着用を推奨しています。フェミクッションとは、骨盤臓器脱の症状を改善するための下着(医療機器)です。

シリコンゴム100%でできたクッションで臓器を体内に優しく戻したうえで、サポーター・ホルダーでしっかりと保持します。サポーターは履き心地や自分で着脱ができるかに応じて3種類あり、自身に適したタイプを選べます。

肌に当たるクッション・ホルダーは、毎日洗えるので清潔な状態で使用可能です。

フェミクッションは臨床試験で効果が実証されているうえ、使用者の体に対するリスクが低いクラスⅠに分類されている医療機器です。使用を続けることで、臓器の位置が上がり、症状の改善が見込めます。

医療機関だけでなく、オンライン・病院の売店など、さまざまな場所での購入が可能なので、手に取りやすい点も大きなメリットです。

フェミクッションの臨床試験結果を確認する

 

子宮脱でお悩みの際はフェミクッションを試そう

子宮脱でお悩みなら、ぜひフェミクッションをお試しください。フェミクッションは、骨盤臓器脱の治療・症状の軽減を目的に開発された医療機器です。

腟内に器具を挿入せず、外側から臓器を優しく押し上げて支える構造のため、体にも心にも負担の少ない対応策として注目されています。痛みが生じたり体に傷をつけたりする心配もないので、取り入れやすい治療法として、多くの医療機関で採用されています。

フェミクッションを続けてご使用いただくことで、脱出した臓器が体内に収まりやすくなり、出血や痛み、違和感といった不快な症状が改善されるでしょう。

子宮脱の症状を抑えながら、毎日を快適に過ごしたい方は、ぜひフェミクッションの使用をご検討ください。

この記事の監修医師

永尾 光一

永尾 光一 先生

銀座リプロ外科 院長
前・東邦大学泌尿器科教授

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

この記事の執筆者

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役。日本における女性疾患についての認知や理解度の低さに危機感をおぼえ、医療機器開発に着手。子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱の治療に用いる「フェミクッション」を開発し、三井メディカルジャパンを通じて発売。

コラム一覧

その他のコラムカテゴリー

この記事を見た人はこんな記事も見ています

目次1 三井社長についての質問2 フェミクッション開発経緯3 三井社長の想い4 フェミクッションの効果・優位性 […]

続きを読む

50代を迎えて精神的な不調や腟の違和感が表れ始め、「更年期症状ではないか」と不安を感じていませんか。 エストロ […]

続きを読む

膣に何かが挟まっているような感覚や下腹部の違和感、尿漏れなどの初期症状から、次第に臓器が膣外に飛び出してきてし […]

続きを読む

スターターキット ライトネット購入限定

まずは試してみたい
という⽅に!

まずは試して、⾝体に合うかどうか、使いやすいかどうかなど確認してみたいという⽅におすすめです

セット内容

・サポーター1枚(ミディベージュサポーター)
・クッション 3個(S・M・L各サイズ1個)
・布製ホルダー(フリーサイズ3枚)
・洗浄栓
※スターターキット ライトをご選択の方はミディベージュサポーターのみとなります。

27,500円(税込)
サポーターのサイズ:
使い捨てホルダー(1袋50枚入):

スターターキット

普段の⽣活でしっかり
使いたい⽅に!

⽇常的に使いつつ、サポーターの種類にこだわりたい⼈におすすめ。ディスポもついてくるので尿もれ対策も可。

セット内容

・サポーター1枚(次の項目で種類・サイズを選択ください)
・クッション 6個(S・M・L各サイズ2個)
・布製ホルダー(フリーサイズ3枚)
・洗浄栓
※コットンの特注サイズは現在在庫切れです。

33,000円(税込)
サポーターのサイズ:
サポーターの種類:
※サポーターの種類の違いはこちら ※ミディのサイズⅡベージュは新しいタイプのサポーターになります
使い捨てホルダー(1袋50枚入):
フェミクッション

FREE
VIEW