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子宮脱(骨盤臓器脱)の手術方法|費用・リスクは?治療法の選び方

「子宮脱(骨盤臓器脱)と診断され、どのような手術方法があるのだろう」と疑問に思っていませんか。

本記事では、子宮脱手術の種類や費用・入院期間の目安、リスクを詳しく紹介します。保存的治療法という手術以外の選択肢も提案し、自身に合った方法で症状を改善できるようサポートします。毎日を楽しむために、より良い改善策を見つけましょう。

 

 

子宮脱の手術方法

子宮脱の代表的な手術方法は、以下のとおりです。

・膣式子宮全摘術+前後膣壁形成術
・経膣メッシュ手術(TVM手術)
・腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC手術)
・ロボット支援下仙骨膣固定術
・膣閉鎖術

手術は、子宮脱を含む骨盤臓器脱の根本的な治療法です。患者さんの年齢や健康状態、子宮脱の症状や程度などを考慮し、適切な術式を医師が判断します。

手術方法ごとに、特徴やメリット・注意点をわかりやすく解説します。

 

膣式子宮全摘術+前後膣壁形成術

古くから婦人科で行われている子宮脱手術が、膣式子宮全摘術+前後膣壁形成術です。子宮を膣から摘出し、前後の膣壁を縫い縮めて補強します。症状の改善と膣の修復を同時に行えることが特徴です。

術後の痛みや体力の回復スピードには個人差があるものの、膣から行う手術は傷が小さいため、体への負担が比較的軽く済みます。高齢の患者さんにも勧められる場合があります。

ただし、膣式子宮全摘術+前後膣壁形成術では、膣が再下垂しやすく、再発率は約30%です。再発を防ぐために、子宮の摘出後に残る膣の先端を糸で靭帯に縫い付ける手術が追加されるケースもあります。

 

経膣メッシュ手術(TVM手術)

経膣メッシュ手術(TVM手術)とは、膣からアプローチして膣壁にメッシュを挿入し、骨盤内の臓器を支える仕組みをつくる手術です。膣の形状を保ちつつ、臓器の下垂を効果的に防げます。

しかし、以下のようなリスクが問題視され、欧米諸国では現在経膣メッシュ手術は行われていません。

・メッシュの露出
・メッシュびらん
・ただれ
・疼痛
・感染
・再発

FDA(米国食品医薬品局)は、2008年と2011年に2度の注意喚起を出し、2019年4月には2社3製品について、完全撤退を命じました。

日本では、一部の医療機関で国産のメッシュである「ORIHIME」を使用して安全に手術が行われています。経膣メッシュ手術とほかの方法のリスクをしっかりと比較し、理解したうえで選択しましょう。

 

腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC手術)

腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC手術)とは、腹腔鏡下で、メッシュを用いて子宮頚部と仙骨(お尻の骨)に固定する手術です。多くの病院がTVM手術から撤退していくなか、LSC手術はスタンダードな術式となりつつあります。

臓器の位置をお腹から正確に調整できるため、再発率が低いうえ、膣の形状が自然に近く保たれます。術後の性交時に違和感が現れにくく、若い人でも受けられる手術です。

一方、LSC手術には以下のような合併症も少なからず存在します。

・メッシュの露出
・疼痛
・後腹膜膿瘍
・仙骨椎間板炎
・尿路損傷
・イレウス
・小腸閉塞

LSC手術の間、患者さんは仰向けで頭部を足よりも低い位置にする「低頭位」の姿勢でいなければなりません。熟練した医師であれば2時間以内で手術が可能とはいえ、通常は3~6時間程度がかかるため、術中の体への負担は大きくなりかねないでしょう。

高度な技術を必要とするLSC手術を受ける際は、術者の経験を確認し、設備の整った医療機関を選ぶことが重要です。

 

ロボット支援下仙骨膣固定術

ロボット支援下仙骨膣固定術は、仙骨膣固定術(LSC手術)に手術支援ロボットを用いる高度な術式です。腹腔鏡下で行うよりも、手術を効率的に進められます。

医師の手の動きを高性能な手術支援ロボットが補助することで、細かな縫合や臓器の正確な固定ができ、再発率の低減が期待されています。出血量が少なく、患者さんの体への負担が軽くなることも特徴です。

2020年4月より、手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下仙骨膣固定術が公的保険の対象になりました。

ロボット手術に対応できる施設は限られており、地域によっては選択が難しい場合もあります。しかし、精密さと体への負担の少なさを重視する方にとっては、魅力的な選択肢の1つです。

 

膣閉鎖術

膣閉鎖術は、膣の入り口を縫い合わせて子宮や膀胱などの臓器が外に出ることを防ぐ術式です。比較的短時間で手術が行えるので体の負担が軽く、術後の回復が早いというメリットがあり、次のような方に勧められる方法です。

・性交渉の希望がない
・治療を最優先したい
・体力に自信がない
・健康不安がある

膣を閉鎖することで、再発の可能性を抑えられますが、完全にゼロになるわけではありません。縫い合わせた場所が開いたり、新たな脱出路が形成されたりして再発する方が一定数見られます。

子宮がん検診が困難にもなるため、今後の医療ニーズや生活スタイルを含め、慎重な判断が必要です。

 

子宮脱の手術にかかる費用や注意点

子宮脱の手術を受ける場合に気になる、以下の項目を解説します。

・費用と入院期間
・手術によるリスク

合併症のリスクが比較的少ないといわれる手術でも、確認することが大切です。メリット・デメリットの両方を理解し、手術を受けましょう。

 

費用と入院期間

子宮脱の手術費用は保険適用の対象で、69歳までなら自己負担額は3割です。術式によって、以下のように費用や入院期間に違いがあります。

手術名 自己負担額の目安
(3割負担の場合)
入院期間の目安
膣式子宮全摘術+前後膣壁形成術 14~22万円 7~10日間
経膣メッシュ手術(TVM手術) 9~15万円 7日間
腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC手術) 12~38万円 4〜10日間
ロボット支援下仙骨膣固定術 15〜24万円 5〜10日間
膣閉鎖術 5〜8万円 3〜7日間
(日帰りもあり)

 

費用の目安には、差額ベッド代や食費は含まれません。使用する薬剤や手術内容の変更によって金額が大きく変わるケースもあります。料金や入院期間の詳細は、病院に確認しましょう。

高額療養費制度が活用できれば、世帯の収入にもよりますが、限度額の範囲内で受けることができます。また、申請が後日であれば、上限を超えた費用があとから払い戻されます。

 

手術によるリスク

子宮脱の手術は、多くの患者さんにおいて症状の改善が期待できる一方で、以下のようなリスクも存在します。

リスク 詳細
出血 術中・術後に起こり、ごくまれに輸血が必要になる
感染症 創部・膣内・尿路などに、発熱・腫れ・膿などが症状として出現
臓器損傷 膀胱や尿管などを傷つける可能性がある
排尿障害 一時的に尿が出にくい、尿失禁などの症状が出る
排便障害 便秘やいきみにくさ、排便困難などが術後に起こる
性交時の違和感 膣の狭窄や萎縮、感覚の変化により痛みや違和感をともなう
再発 骨盤底筋の状態によっては再手術が必要になる

 

合併症や再発のリスクが比較的少ないといわれる術式でも、可能性はゼロではありません。年齢や体力、持病の有無によってもリスクの大きさは異なるでしょう。

軽症の場合は保存的治療法で様子を見ることも1つの手段なので、手術以外の対処法もぜひ知っておいてください。

 

子宮脱の保存的治療法

子宮脱の保存的治療法は、以下のとおりです。

・骨盤底筋のトレーニングをする
・リングペッサリーを装着する
・フェミクッションを使用する

子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱は、症状が悪化する前に保存的治療法を取り入れると、手術を受けなくても日常生活を快適に過ごせる可能性が高まります。少しでも症状が気になったら、まずは保存的治療法を試してみましょう。

 

骨盤底筋のトレーニングをする

骨盤底筋トレーニングは、取り組みやすい子宮脱の保存的治療法の1つです。骨盤底筋は子宮や膀胱などの臓器を下から支える筋肉で、加齢や出産の影響で衰えると、臓器の位置が下がる原因になります。

骨盤底筋を鍛えることで、臓器の支持力が改善され、症状の進行を抑える効果が期待できます。トレーニングは自宅でさまざまな体勢で行え、膣や肛門を締めたり緩めたりする運動が基本です。

正しい方法での継続が効果を生むため、慣れるまでは婦人科や骨盤底リハビリ外来で指導を受けながら行うことがおすすめです。

日常的に行える骨盤底筋のトレーニングは、子宮脱を自身でコントロールする経験の第一歩になります。

 

リングペッサリーを装着する

子宮脱の保存的治療法の1つは、膣内に輪っか状の器具であるリングペッサリーを挿入し、臓器が下がらないように支える方法です。手術を受けなくても、排尿障害や違和感といった日常で感じる不快症状の改善が望めます。

ただし、リングペッサリーの挿入は、以下の膣トラブルを招く恐れがあります。

・びらん(ただれ)
・出血
・疼痛
・感染
・肉芽(赤く盛り上がった組織)
・悪臭
・おりものの増加

違和感を訴える方も少なくなく、階段の昇降や重い物を持つ動作による腹圧でリングペッサリーが外れてしまうこともあります。安全に使うには、定期的な交換や清掃、受診が必要です。

自己脱着できるよう指導してくれる医療機関が増えているものの、「指先に力が入らない」「膣への接触に抵抗がある」という方には難しい場合もあります。

リングペッサリーの特徴や使い方を確認する

 

フェミクッションを使用する

子宮脱の保存的治療法としておすすめの方法は、フェミクッションの使用です。

フェミクッションは、子宮脱を含む骨盤臓器脱の症状を体の外から改善する医療器具です。患者さん自身で専用クッションを装着し、膣からの臓器の突出を防ぎます。

装着による痛みがないうえ感染リスクが少なく、簡単に使用できることが特徴です。手術のような根治治療ではないものの、履けばすぐに違和感から解放され、通常の日常生活を取り戻せます。

以下のような方に、特におすすめです。

・信頼できる病院が近くにない
・年齢や病気などの理由で手術が受けられない
・リングペッサリーに不具合を感じている

フェミクッションは日中の活動時に使用し、夜間は外すことが基本です。洗って繰り返し使えるため、衛生的かつ経済的に使用できます。痛みや出血からすぐに解放されたい方にとって、フェミクッションは負担の少ない実用的な選択肢です。

手術前後に膣の状態を整えたり、子宮脱の再発を予防したりする目的で使用されるケースも増えています。効果が気になる方は、以下の記事を確認しましょう。

フェミクッションの医学的根拠を確認する

 

フェミクッションが有用な理由|骨盤ベルトとの比較

フェミクッションが子宮脱に有用である大きな理由は、体外からしっかりと臓器を支えられるためです。骨盤のサポート効果が期待できると一部でいわれる骨盤ベルトでは、子宮脱の症状の改善はできません。

以下は、フェミクッションと、産後の骨盤矯正に使用される骨盤ベルトの比較表です。

               
フェミクッション 骨盤ベルト
圧迫の方向
圧迫の方向 下から上(吊り上げ) 横方向
圧迫する部分
圧迫する部分 脱出した骨盤臓器 骨盤の骨
圧迫するメカニズム
圧迫するメカニズム ①膣内までクッションで優しく持ち上げる
①膣内までクッションで優しく持ち上げる
②縦ベルトによる吊り上げ
②縦ベルトによる吊り上げ
骨盤臓器に対する圧迫効果なし
骨盤臓器に対する圧迫効果なし
骨盤臓器脱に対する
効果
骨盤臓器脱に対する
効果
有用 無効
※腹部に巻くと腹圧が高まり悪化する
骨盤臓器脱による
排尿障害に対する効果
骨盤臓器脱による
排尿障害に対する効果
有用 無効
※腹部に巻くと腹圧が高まり悪化する
骨盤臓器脱による
排便障害に対する効果
骨盤臓器脱による
排便障害に対する効果
有用 無効
※腹部に巻くと腹圧が高まり悪化する
国の認定
国の認定 医療機器 雑品
※効能効果を謳うことこはできない
          骨盤臓器脱や尿失禁に効果があるといって
売られている商品があるのでご注意ください

骨盤ベルトは骨盤臓器に働きかける製品ではないため、子宮脱を治療・改善する効果はありません。骨盤ベルトの巻き方を間違ってお腹を圧迫すると、子宮脱が悪化する点にも注意が必要です。

 

子宮脱|自分に合った治療法の選び方

子宮脱の治療法は、症状の程度や健康状態、生活スタイルに応じて選ぶことが大切です。以下の表には、子宮脱の段階や患者さんのニーズに応じた治療法をまとめています。

子宮脱の段階や患者さんのニーズ 適した治療法
重度の症状で生活に支障が出ている  手術
手術ができない・受けたくない ・骨盤底筋トレーニング
・リングペッサリーの装着
・フェミクッションの使用
リングペッサリーが合わない  フェミクッションの使用
予防したい  骨盤底筋トレーニング+フェミクッション

 

子宮脱は進行する病気のため、治療を受けなければ症状は悪化します。午後だけあった下腹部の違和感や痛みを常に感じるようになったり、歩行の際に下着が擦れて出血したりし、生活に支障が出かねません。

重度の子宮脱を患う方には、根本的な治療を目指す手術が適用されます。一方で、心臓病や糖尿病などの持病や基礎疾患があり、症状が軽~中度の方には、保存的治療法が適しています。

リングペッサリーは子宮脱に対する効果が期待できるものの、異物を体内に入れるため、使い方によってはトラブルが起きがちです。「定期的な通院が難しい」「装着時の違和感が気になる」という方には向いていません。

リングペッサリー以外の保存的治療法を希望する方には、フェミクッションをおすすめします。下着のような感覚で装着可能な医療機器のため、トラブル・違和感が少なく、気軽に使用できるでしょう。

フェミクッションは弱った骨盤底筋をしっかりとサポートし、違和感・痛みの緩和や、子宮脱症状の悪化を防ぎます。受診せずとも、インターネット上で購入できるため、人に知られず治療したい方にも選ばれています。

 

子宮脱でお悩みの方はフェミクッションの検討を

子宮脱の症状を何とかしたい方は、フェミクッションの使用を検討してください。

フェミクッションは、骨盤臓器脱の症状に悩む方のために十数年以上にわたり実績を積んできた医療器具です。「膣内に器具を入れたくない」「手術を避けたい」という方に選ばれています。

全国の先生からお問い合わせがあり、実際に多くの医療機関で診療に取り入れていただいています。

人に知られず子宮脱を治療したい方は、インターネット上での購入も可能です。フェミクッションは、受診せずとも購入できることがメリットの1つです。

子宮脱にお悩みの方は、フェミクッションを使用し、症状に悩まされない快適な生活を手に入れましょう。

フェミクッションを購入する

この記事の監修医師

永尾 光一

永尾 光一 先生

銀座リプロ外科 院長
前・東邦大学泌尿器科教授

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

この記事の執筆者

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役。日本における女性疾患についての認知や理解度の低さに危機感をおぼえ、医療機器開発に着手。子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱の治療に用いる「フェミクッション」を開発し、三井メディカルジャパンを通じて発売。

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サポーターのサイズ:
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33,000円(税込)
サポーターのサイズ:
サポーターの種類:
※サポーターの種類の違いはこちら ※ミディのサイズⅡベージュは新しいタイプのサポーターになります
使い捨てホルダー(1袋50枚入):
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