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産後の子宮脱は自然に治る?下腹部に違和感が起こる原因と症状・治療法

「産後に陰部が開いている」「下腹部に違和感がある」と感じ、子宮脱ではないかと不安になっていませんか。

産後は骨盤内の臓器を支えている骨盤底筋がゆるんでおり、子宮脱という骨盤臓器脱が起こる可能性があります。重症化すると日常生活に支障をきたすため、早めの治療が重要です。

本記事では、産後の子宮脱について症状や原因、治療方法を説明します。子宮脱は放置すると進行するリスクがある疾患なので、気になる症状がある際は早期の受診を検討しましょう。

 

 

子宮脱とは?

子宮脱とは、骨盤内にある子宮が下降し、腟から体外に脱出する疾患です。産後すぐに子宮脱が起こることもある一方で、閉経後の50〜60代で発症する方が多く、腟内に何かが挟まっているような違和感を覚えるケースがあります。

子宮脱の主な症状や原因を紹介するため、陰部の違和感が続いており、気になっている方は確認しましょう。

 

症状

産後の子宮脱は、一般的に「子宮の位置が下がる感覚がある」「座ると何かが触れる感じがして気持ち悪い」などの自覚症状から始まります。子宮が脱出する際の腟口あたりの違和感が強いことが、子宮脱の症状の特徴です。

症状がひどくなると、排尿障害や痛み、出血などが発生するケースも見られ、日常生活の質が低下する恐れがあります。性交時の痛みや便秘も、子宮脱の症状です。

進行度に応じて適した治療方法は異なるため、放置していても問題がないか不安な方は、婦人科や泌尿器科へ相談しましょう。

 

原因

子宮脱の原因は、骨盤底筋のゆるみや損傷です。骨盤底筋は子宮・膀胱・直腸といった臓器を支える筋肉で、以下のような原因でゆるんだり損傷したりします。

・出産(経腟分娩・難産・多産・高齢出産)
・加齢・閉経
・肥満
・慢性的な便秘で排便時にいきむ習慣
・慢性的な咳(気管支炎・喘息)
・長時間の立ち仕事・重い物を持つ作業
・骨盤内の手術経験

出産は、子宮脱の代表的な原因です。

加齢・閉経により女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少すると、骨盤底筋の機能が弱まります。

肥満・便秘・慢性的な咳や、立ちっぱなしであったり重い荷物を持ち上げたりする仕事は、腹圧がかかる要因です。腹圧がかかることで骨盤底筋のゆるみが生じるため、子宮脱を招く恐れがあります。

骨盤内の外科手術の経験がある方は、骨盤底筋がダメージを受けている場合があり、子宮脱の発症リスクがあることが特徴です。

 

子宮脱と妊娠・出産の関係

産後の子宮脱の発生には、妊娠・出産による骨盤底筋への負荷が関係します。産後に子宮脱が起こりやすい理由を詳しく解説するので、自身の体の変化が気になる方は参考にしてください。

産後の子宮脱を防ぐ方法も紹介します。「発症リスクを少しでも減らしたい」という方は実践しましょう。

 

産後に子宮脱が起こりやすい理由

産後に子宮脱が起こりやすい理由は、妊娠と出産により骨盤底筋に負荷がかかるためです。

妊娠時は母体に赤ちゃんの重みが加わるため、子宮を支える骨盤底筋への負担が大きくなります。長期間の筋肉への負荷が骨盤底筋にダメージを与え、子宮脱が起こりやすくなります。

出産は赤ちゃんが子宮から産道を通過し、体外に出ていくプロセスです。赤ちゃんが産道を通過する際に骨盤が開くため、骨盤底筋が引き伸ばされ、筋肉がゆるみやすくなり、子宮脱につながります。

以下のような出産は骨盤底筋にかかる負荷が特に大きく、子宮脱が起こりやすいといえます。

・赤ちゃんの体重が重い
・長い時間がかかった
・吸引カップや鉗子を使った
・母親の年齢が高齢である

自身の出産に思い当たる節がある場合は、予防法を試したり医師に相談したりすることがおすすめです。

 

産後にできる子宮脱の予防法

産後にできる子宮脱の予防法として、ゆるんだ筋肉を引き締める骨盤底筋体操があります。以下のような動作により骨盤底筋を鍛えましょう。

1.腟や肛門を締めて5〜10秒間キープする
2.力をゆっくりと抜く
3.1〜2の動作を10回繰り返す

1〜3の動作を1セットとし、1日数回繰り返すことが大切です。体勢は仰向けが実施しやすいものの、慣れてきたら立った状態や椅子に座った姿勢でも行えます。

骨盤底筋体操をする際、お腹に力を入れると腹圧がかかり、かえって子宮脱が起こりやすくなるため注意が必要です。

 

子宮脱の治療方法

産後に子宮脱が発生したときは、主に以下の方法で治療します。

・ペッサリーの使用
・手術療法
・フェミクッションの使用

子宮脱の症状の進行度合いや自身の体の状態に合った治療方法を選択できるよう、理解を深めましょう。

 

ペッサリーの使用

産後子宮脱の治療方法の1つがペッサリーの使用です。ペッサリーは、リングやキノコの形をした子宮脱の治療具です。腟内に挿入し、子宮を下から支えたり臓器が下がってくるスペースを占拠したりして、体外への脱出を防ぎます。

ペッサリーのメリットは、手術よりも体への負担が少なく、医師の指導を受ければ自身でも脱着が可能な場合がある点です。

ただし、ペッサリーの使用には、以下のようなリスクがともないます。

・感染が起こる
・違和感や痛みを覚える
・おりものの量が増加する
・嫌な臭いが発生する

自分で脱着する場合でも、安全に治療を進めるには定期的な受診が欠かせません。

ペッサリーの特徴や使用方法を確認する

 

手術療法

産後の子宮脱の症状が重度であったり、根本的に治療したかったりする場合は、以下のような手術が必要になることがあります。

術式 詳細
経腟メッシュ手術
(TVM)
1.メッシュという網目状の人工素材を筋膜や靭帯に固定する
2.メッシュで子宮を支えて腟外への脱出を防ぐ
腟式子宮全摘術

腟壁形成術
脱出した子宮を腟から切除してゆるんだ腟壁を縫い縮める
腟閉鎖術 腟を完全に閉鎖する
腹腔鏡下仙骨腟固定術
(LSC)
1.腟壁にメッシュを固定する
2.腟を引き上げて仙骨に固定する

 

2020年からは、ロボットを使った仙骨腟固定術(RSC・RASC)が保険適用の対象になりました。RSC・RASCのメリットは、LSCよりも高精度な処置を短時間で行える点です。

手術による産後子宮脱の治療には、術式に関係なくデメリットやリスクがともなうため、十分に理解を深めたうえでの選択が求められます。

 

フェミクッションの使用

産後の子宮脱の治療におすすめのアイテムは、フェミクッションです。フェミクッションは、子宮脱はもちろん、すべての骨盤臓器脱の治療・予防を目的として開発された医療機器です。

脱出した臓器が腟内に戻っている状態で腟口をクッションで押さえ、ホルダーとサポーターで押し上げることで脱出を防ぎます。下着を履く感覚で簡単に着用でき、洗って繰り返し使えることが特徴です。

フェミクッションは、以下のようにメリットが多くあります。

・感染が起こるリスクが少ない
・体内に異物を入れずに骨盤臓器脱の症状を改善できる
・使用後すぐに効果が現れる
・医師の処方なしで購入できる

「手術を受けられない事情がある」「体内に異物を入れたくない」といった患者さんにも適し、多数のクリニックで紹介されています。

以下の表には、フェミクッションと、出産を通じてゆがんだり開いたりした骨盤の矯正を目的とする骨盤ベルトの違いをまとめました。

   

   

フェミクッション 骨盤ベルト
圧迫の方向
圧迫の方向 下から上(吊り上げ) 横方向
圧迫する臓器
圧迫する臓器 脱出した骨盤臓器 骨盤の骨
圧迫するメカニズム
圧迫するメカニズム ①膣内までクッションでやさしく持ち上げる
①膣内までクッションで優しく持ち上げる
②縦ベルトによる吊り上げ
②縦ベルトによる吊り上げ
骨盤臓器に対する圧迫効果なし
骨盤臓器に対する圧迫効果なし
骨盤臓器脱に対する
効果
骨盤臓器脱に対する
効果
有用 無効
※腹部に巻くと腹圧が高まり悪化する
骨盤臓器脱による
排尿障害に対する効果
骨盤臓器脱による
排尿障害に対する効果
有用 無効
※腹部に巻くと腹圧が高まり悪化する
骨盤臓器脱による
排便障害に対する効果
骨盤臓器脱による
排便障害に対する効果
有用 無効
※腹部に巻くと腹圧が高まり悪化する
国への届出
国への届出 あり
(クラスⅠの医療機器)
雑品
※効能効果を謳うことこはできない

「骨盤臓器脱の治療に効果がある」という謳い文句で販売されている骨盤ベルトを、子宮脱の症状を改善する目的で購入しないよう気をつけましょう。

 

臨床試験におけるフェミクッションの実績

産後の子宮脱の治療に使用できるフェミクッションは、臨床試験の結果、有効性が報告されています。

骨盤臓器脱の患者さんにおける、フェミクッション装着前後の骨盤内のMRI画像を以下に示します。


出典:Magnetic resonance imaging evaluation of the effectiveness of FemiCushion in pelvic organ prolapse|Obstetrics&Gynaecology

上から(a)膀胱瘤(b)子宮脱(c)腸瘤と直腸瘤(d)完全な外反の画像であり、半球状の黄色の点線がフェミクッションの位置です。(a)~(d)まですべてのケースで、フェミクッションの装着により下降していた臓器が持ち上がっており、改善効果がわかります。

別の学会発表や論文でも、フェミクッションは、子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱による不快感や排尿障害に対し、一定の効果があると報告されています。

 

産後の子宮脱についてのよくある質問に回答

産後の子宮脱についてよくある質問は、以下のとおりです。

・どの診療科に見てもらえば良い?
・子宮脱になったら必ず治療を受けないとダメ?
・子宮脱を放っておくとどうなる?
・子宮脱になったら妊娠できない?
・産後の子宮脱はどれくらいで治る?

質問への回答を詳しく解説するため、同じような疑問・不安を抱えている方は参考にしてください。

 

どの診療科に見てもらえば良い?

産後の子宮脱が疑われる場合は、婦人科や女性泌尿器科で診てもらいましょう。

婦人科の医師は子宮のような生殖器を扱う専門医で、内診や触診などで子宮脱かどうかや重症度を診断可能です。女性泌尿器科は、女性特有の泌尿器疾患の診療を専門としています。

婦人科と泌尿器科の境界線付近の領域に位置する病気を診察・治療する、ウロギネ外来と呼ばれる診察科もあります。ウロギネ外来の特徴は、女性の骨盤臓器脱や排泄トラブルなどをより専門的に取り扱っていることです。

住んでいる場所の近くに、骨盤臓器脱の診療ができる婦人科や女性泌尿器科、ウロギネ外来がないか調べてみましょう。

 

子宮脱になったら必ず治療を受けないとダメ?

産後の子宮脱は、必ずしも治療が必要なわけではありません。自覚症状や日常生活への支障がなければ様子を見るという選択肢もあります。

ただし、子宮脱が起こっているかや症状の進行度合いをきちんと確認するためには、診察を受けることが重要です。子宮脱は重症化するリスクがあるので、「治療しなくていいか」と自己判断することは避けましょう。

治療が必要なほど症状が進行している場合は、フェミクッション・ペッサリーの使用や手術などから、適切な方法を選択することが大切です。

 

子宮脱を放っておくとどうなる?

産後の子宮脱は、体や骨盤底筋の回復とともに自然に改善することが期待できますが、放置すると以下のような状態に陥るリスクがあります。

・歩行・性交や排尿・排便が困難になる
・痛みや出血が生じる

子宮脱が重症化すれば、日常生活や旅行、趣味などを思い切り楽しめなくなるでしょう。

子宮脱は基本的に命に関わる疾患ではないものの、腟口あたりの違和感や下垂感を覚えたら放置せず、早めに受診することをおすすめします。子宮脱の症状改善・悪化予防には、フェミクッションが効果的です。

 

子宮脱になったら妊娠できない?

子宮脱になると性交時に違和感・痛みをともなうことがありますが、妊娠は可能です。ただし、第一子の出産後に子宮脱になってしまうと、第二子の妊娠中に骨盤底筋に大きな負荷がかかり、症状が進行する場合があります。

子宮脱が重症化すれば性交時に出血するケースも見られ、妊活がスムーズに進まない恐れがあるため、軽症のうちに治療を始めることが重要です。性交による妊娠を望む方は、手術方法によっては術後に性行為ができなくなる点に注意が必要です。

 

産後の子宮脱はどれくらいで治る?

出産後すぐに子宮脱が起こった場合、多くのケースではおよそ1~2か月で症状が軽快します。出産時にダメージを受けた骨盤底筋が回復するとともに、子宮脱の症状は消失していくでしょう。

ただし、数箇月が経過しても骨盤底筋が完全に回復しないケースもあるため、注意してください。子宮脱が重度であったり、一度軽快した症状が再発したりする際は、保存的治療法手術が必要になるため、すみやかに受診することをおすすめします。

 

産後の子宮脱治療にはフェミクッションがおすすめ

産後の子宮脱の治療には、フェミクッションが効果的です。産後に起こる子宮脱は1〜2か月ほどでの改善が期待できますが、症状がゆっくりと悪化する可能性もあります。

フェミクッションは、子宮脱を含む骨盤臓器脱の治療はもちろん予防にも効果がある医療機器です。体内に挿入する必要がなく、体にやさしい方法で子宮脱の症状を改善できる点がメリットです。

フェミクッションの有効性は臨床試験で実証されています。子宮脱の症状に不安を抱いている方は、フェミクッションによる治療を検討しましょう。

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この記事の監修医師

永尾 光一

永尾 光一 先生

銀座リプロ外科 院長
前・東邦大学泌尿器科教授

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する(2つの基本領域専門医を取得)。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

この記事の執筆者

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役

三井 桂子

株式会社三井メディカルジャパン 代表取締役。日本における女性疾患についての認知や理解度の低さに危機感をおぼえ、医療機器開発に着手。子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱の治療に用いる「フェミクッション」を開発し、三井メディカルジャパンを通じて発売。

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