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骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)とは?

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)とは、子宮・膀胱・尿道・小腸・直腸などが、女性器(膣)に下垂し膣外に出てきてしまう病気です。別名「性器脱」、「膣脱」ともいわれ、古には「なすび」と云われた疾患です。

出てくる臓器によって、子宮脱・膀胱瘤・尿道瘤・小腸瘤・直腸瘤と呼ばれて骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)とはその総称です。
海外ではPelvic Organ Prolapse (POP)の名称を用いられ、日本でも骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)という名称が使われるようになりました。

膀胱瘤

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の中でも一番多いのが膀胱瘤です。
膀胱瘤は膀胱が膣内に下がってしまう症状です。最初は尿失禁を伴うケースが多いようです。さらに進行すると尿道よりも膀胱下がることから、尿閉となり排尿しても尿が十分に出切らなかったり、尿が出にいなど排尿困難な状態になります。
こうなってしまうと、膀胱への腎臓からの尿の流れも障害され水腎症となり、腎不全になることもあります。

子宮脱

子宮脱では、子宮が膣内に下垂してくるため、靱帯が引っ張られ、痛みを感じます。
さらに子宮脱の症状が進むと子宮が体外に脱出し、痛みや出血を伴います。

直腸瘤

直腸が膣内落ち込み排便困難になります。
人によっては、膣内に出た直腸瘤を手で押し戻し排便しなくてはなりません。

小腸瘤(膣断端脱)

子宮摘出した後に膣の一番奥の部分が下がってきたものを膣断端脱といいます。

骨盤臓器脱の症状

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)は、骨盤内の臓器を支えている骨盤底を構成している筋肉や靭帯(骨盤底筋群)が脆弱になるために膣のある部分、もしくは全部が下垂してきて、重症になると外陰の外まで脱出してきてしまいます。 これらの骨盤内の臓器が体外に脱出すると、空気にさらされ、下着に摩擦などで出血を伴い、歩行困難、尿失禁や排尿障害、便失禁や排便困難などの症状を招き、日常生活が著しく阻害されます。

初期症状

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)自覚症状として、排尿障害や排便障害、さらに性交障害をきたし、さらに疼痛、違和感、下垂感、出血などを伴うことより、大きく生活の質(QOL)を落とします。この強い不快感があるにも関わらず、家族にも言えず誰にも相談できずに一人で悩みがちになります。またそのまま放っておくと、ますます症状は悪化してしまいます。

具体的な初期の症状としては、以下のようなものがあります。

  • お風呂などで陰部に何かが触れる。
  • 椅子に座ると何かが押し込まれるような感覚がある。
  • 下腹部に違和感がある。
  • 排尿してもオシッコが出切らない。
  • 排便できない。
  • 午後になると不快感が強くなる。
  • 下着に血がついている。

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の日常生活への影響

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)になり、臓器が体外へ脱出すると、脱出した粘膜の表面が乾燥し、下着や皮膚と擦れて痛みを生じ、歩行困難にもなります。
多くの人は、長時間立っていられず、炊事や掃除機をかけるなどの家事をするのが億劫になり、スーパーでの買い物もできず、家の階段もつかまりながらよじ登るようにしなくてはいけないなど、ただひたすら家でじっと座っているしかないという状況を訴えます。

また、一人で悩みがちな病気なことから、次第に引きこもりとなり、社会生活をも営めなくなる人も多いのが現状です。

骨盤臓器脱に罹る原因

主に出産があげられますが、他にも癌や子宮筋腫のため、子宮摘出手術を受けた女性は、周辺の臓器が支えを失い、膀胱や直腸や小腸などが膣に落ち込みやすくなります。

骨盤底支持組織の異常

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の主な原因は、何といっても「出産」ですが、そのほかに慢性的に腹圧をかける状況も大きな原因です。

具体的には、喘息、花粉症、職業的に立ち仕事、農業、庭仕事、ある種のスポーツ、便秘、肥満、などです。長期に渡りコルセットやガードルで腹部を締付けたり、家族の介護のため重いものを持ち上げたりしている人にも多く見られます。

更年期や加齢なども大きな要因です。また、子宮癌や子宮筋腫などで子宮摘出術を以前受けたことのある人にも多くみられます。これはこれまで靱帯に支えられていた子宮を取ってしまうため、支えがなくなることから起こります。またお腹にポッコリ空洞ができるので、他の臓器がそこに落ち込んできます。

出産時にかかるリスク

出産時にかかるリスクとしては、経膣分娩、3,500グラム以上の大きな赤ちゃんを産んだ人、高齢出産、会陰切開、妊娠中の喫煙などです。また吸引分娩や鉗子分娩で赤ちゃんと共に子宮が出てきてしまう(子宮脱)ケースもあります。

骨盤臓器脱の医療現場と現状

昨今の日本においては骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)は、この病気の治療に携わる専門医も不足しており、治療方法もリングペッサリーの装着あるいは手術と限られております。

治療についても、授産を望む女性は、リングペッサリーも手術も適応外であり、リングペッサリーがどうしても適さない方、或いは癌の治療や糖尿病などの持病のため手術を受けられない人も多くいるのが現状です。
更に骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)は、日本では認知度が低く、実際に症状があっても、病気と気が付かずに放置をしてしまう人もいます。また、医療機関を訪れたくても恥ずかしいなどの理由で受診を拒んでしまう人も多く、命には関わらないため、家族からも孤立し1人悩んでしまうというケースが多い病気です。
海外では3人に1人が罹患しているとのデータがあり、日本でも同様に潜在患者がいると推察されます。(Olsen AL et al. Epidemiology of surgically managed pelvic organ prolapse and urinary incontinence. Obstet Gynecol 1997;89:501-6)

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の患者数

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)は、日本では、病気自体の認知度は低く、羞恥心などから受診を拒むケースも多いため、実際の患者数は把握されていません。

また実際に骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の症状のある人でも、どこの医療機関を訪れればよいかわからず生活している人も多くいます。

しかしながら実際の患者数は大変に多く、米国の報告によると、全女性の75%が骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の因子をもっていて、実際に外陰外まで出てくる「重症型」の者は、このうちの5%といわれています。
一方他の報告では全女性の11%が骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)であるとしたものや、北欧ではSamuelsonらの報告で、50歳以上の女性の30%は骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)であるとしたものもあります(文献)。本邦においては上記の理由から疫学的な調査がなされておらず、正確なデータはありませんが、全女性の約1割としても大変な数の患者がいることになり、これから高齢者社会を迎えつつある現在、まさに国民病のひとつであるといっても過言ではありません。

<参考文献>
Olsen AL et al. Epidemiology of surgically managed pelvic organ prolapse and urinary incontinence. Obstet Gynecol 1997; 89: 501-6

少ない専門医

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)になり、実際に手術を希望して、勇気を出して病院へ行っても、対応できる医師はあまり多くありません。
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)の診察は、婦人科、泌尿器科、女性外来などで対応するのですが、きちんとこの疾患を治療できる専門医がまだまだ少ないのが実状です。

ある患者さんは、子宮脱になり、それまでに8箇所の大学病院を含めた大病院へ行ってみてもらったが対応できず、やっと9箇所目に専門医に診てもらえたいわれたこともあります。
また都市部はまだ何とかなっても、ほとんど対応できる医師が1人もいないような地域もあります。その地域の患者にとっては救いようがありません。リングペッサリーすら対応できないのが現実です。

しかしまだ長期間待機してもこの手術ができる方は幸せで、糖尿病や心臓など種々の合併症があるため手術ができない方も大勢いるのです。

現在の日本における治療方法

リングペッサリーの装着による治療法(温存療法)

病院で骨盤臓器脱と診断された後の治療としては、リングペッサリーの装着か手術という2つの治療法しかありません。

リングペッサリーは、ドーナツ状の輪を膣の中に入れて、2~3ヶ月毎に病院にて膣洗浄・リング交換を行います。

簡便なため、比較的行われていますが、どうしても異物を膣内に入れているので、感染を併発し「おりもの」が増加して、異臭に悩まされます。また膣粘膜が傷つき、出血します。さらに当然異物が入っているので、性交障害があります。また膣の形状、大きさなどからリング自体が適応でないケースも多々あります。

メリット

  • 簡便なこと
  • 合併症などで手術を受けられない人にも使える

デメリット

  • 定期的な交換が必要
  • 異物のため、感染のリスク
  • 腟壁が脆弱なため出血を伴う事がある
  • おりもの過多

手術療法

手術にはいくつかの方法があり、患者様の年齢や体力、症状や程度によって、医師が判断します。

子宮の摘出
下がってきた子宮と取り出す方法
膣壁の縫縮
弱っている膣の壁(筋膜)を縫い縮める方法
メッシュを使用した手術
弱っている膣の壁をシート状のメッシュで補強する方法
膣の閉鎖
膣の前と後ろの壁を縫い合わせて、臓器が落ちないようにする方法

フェミクッションによる新しい治療法(温存療法)を

フェミクッションとは

当社が開発した、骨盤臓器脱の新しい治療を目的とした医療器具です。日常生活の快適さを取り戻すために開発されました。
フェミクッションについて詳しくはこちらをご覧ください

メリット

  • 一日中装着する必要はなく、症状に合わせ、臓器が出てくる前に患者自身で装着すればよい。
  • ※装着の際には臓器を還納している状態で使用する
  • 臓器が膣内に留まっている状態(還納)で膣口を塞ぎ押上げて使用するので、臓器や粘膜に対し負担が少ない
  • リングペッサリーが合わない人にも使用できる
  • 合併症などで手術を受けられない人にも使用できる
  • 手術待ちなどリングペッサリーを抜去 した際に使用できる
  • 洗って繰り返し使用できるので、毎日清潔に使用できる

デメリット

  • 健康保険の適応にならない
  • 排尿排便の際にサポーターの着脱に手間取る患者がいる
  • 使用方法をきちんと理解できるようにする必要がある

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